未知谷の刊行物【国内文学】



 
詩人西行 終わりと始まり
工藤正廣 著
四六判上製192頁 2,200円(税別)
ISBN978-4-89642-757-8 C0093



風はとまっているが雲は流れている
手の届かぬまま時もまた流れている
陶然と過ごす内に多くの人が逝った
 
別離はだが出会いがあったればこそ
歌は言葉と化した供養祈りでもある
見るべきものを見て語る生への哀歌
 
 
日本の中世詩人で、当時の国内戦争を和歌に詠んだ歌人はただ一人、西行をおいて他にいまい。その意味で言うと、中世詩人として西行は画期的事件だった。……花と月の歌人と称讃されるだけの詩人ではない。人の死出殺戮の歌は西行の本心を語る。月と花とは、死と不死のメタファーだろう。現代詩人につながる一筋の精神だ。そういう稀有な詩人西行をめぐって、この物語は書かれたのだけれど、ひたすら抒情的なフィクションになってしまったかもわからない。出家遁世のロマン派というふうに読まれてしまうだろうが、僕の主意は、西行自身を、ここでは最晩年の三月あまりの暮らしぶりに寄り添いながら、老西行と身近な若い世代との心の未来を描きたかったのだと、書き終わってみて分かった。稀有な大詩人の姿ではない。のちの世代への月の輝きとしての西行だった。           (「あとがき」より)


目  次

プロローグ 弘川寺まで

1 再会
12 
2 満月
17 
3 冬の旅
23 
4 寂しさ
29 
5 たわむれ歌
32 
6 老い行けど
41 
7 寂歌
47 
8 初雪ののちに
59 
9 伽藍
63 
10 この山道も
78 
11 幻
80 
12 鶫
84 
13 阿弥陀堂の階
91 
14 夢の覚めであれな
94 
15 阿弥陀堂の別れ
98 
16 混乱
102 
17 愁訴
110 
18 逢うと見し
116 
19 失踪
121 
20 憑依
127 
21 駅家へ急ぐ
135 
22 旅に病む
139 
23 駅家の思い出
141 
24 夜の談義
145 
25 目覚め
150 
26 後の春秋
155 
エピローグ 日輪の手紙
161 
宮河歌合(日輪が手紙で選んだ勝歌)口語訳
167 
あとがき
186 
追い書き・エッセイに代えて
188 

工藤正廣 [くどう まさひろ]
1943年青森県黒石生まれ。北海道大学露文科卒。東京外国語大学大学院スラブ系言語修士課程修了。現在北海道大学名誉教授。ロシア文学者・詩人・物語作者。
TSUGARU』『ロシアの恋』『片歌紀行』『永遠と軛 ボリース・パステルナーク評伝詩集』『アリョーシャ年代記 春の夕べ』『いのちの谷間 アリョーシャ年代記2』『雲のかたみに アリョーシャ年代記3』『郷愁 みちのくの西行』『西行抄 恣撰評釈72首』『1187年の西行 旅の終わりに』『チェーホフの山』(第75回毎日出版文化賞特別賞)『〈降誕祭の星〉作戦』『ポーランディア』『没落と愛2023』『幻影と人生2024』『ユゼフ・ローザノフ』等、訳書にパステルナーク抒情詩集全7冊、7冊40年にわたる訳業を1冊にまとめた『パステルナーク全抒情詩集』、『ユリウシュ・スウォヴァツキ詩抄』、フレーブニコフ『シャーマンとヴィーナス』、アフマートワ『夕べ』(短歌訳)、チェーホフ『中二階のある家』、ピリニャーク『機械と狼』(川端香男里との共訳)、ロープシン『蒼ざめた馬 漆黒の馬』、パステルナーク『リュヴェルスの少女時代』『物語』『ドクトル・ジヴァゴ』など多数。

小社刊の工藤正廣の著作物
[TSUGARU (つがる)――物語の声・文体論レッスン――]
[ロシアの恋]
[片歌紀行 今に生きる建部綾足]
[永遠と軛 ボリース・パステルナーク評伝詩集]
[アリョーシャ年代記 春の夕べ]
[いのちの谷間 アリョーシャ年代記2]
[雲のかたみに アリョーシャ年代記3]
[郷愁 みちのくの西行]
[西行抄 恣撰評釈72首]
[チェーホフの山]
[〈降誕祭の星〉作戦 ジヴァゴ周遊の旅]
[1187年の西行 旅の終わりに]
[ポーランディア 最後の夏に]
[没落と愛 2023 РАЗОРЕНИЕ И ЛЮБОВЬ 2023г.]
[幻影と人生 2024 ВИДЕНЬЕ И ЖИЗНЬ 2024г.]
[ユゼフ・ローザノフ 青春の終わりに]
 
小社刊の工藤正廣関連の著作物
[シャーマンとヴィーナス]
[中二階のある家 ある画家の物語]
[蒼ざめた馬 漆黒の馬]
[夕べ ヴェーチェル]
[機械と狼]
[ユリウシュ・スウォヴァツキ詩抄]
[]
 
小社刊の工藤正廣関連の著作物 [パステルナーク詩集]
[わが妹人生 1917年夏]
[初期 1912―1914 あるいは処女詩集から]
[バリエール越え 1914―1916]
[晴れよう時 1956―1959]
[早朝列車で 1936―1944]
[第二誕生 1930―1931]
[主題と変奏 1916―1922]
[リュヴェルスの少女時代]
[物語]
[パステルナーク全抒情詩集]
[ドクトル・ジヴァゴ]


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詩人西行 終わりと始まり
工藤正廣 著
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