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目 次
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第一章 あによめ・恋
1 笠ほどな庵と思へ初しぐれ
2 雨ふればひるもぞねむるねぶのはな
3 ちよとしも君がむすびし菊ぞさきたる
4 仏達燕とならば春近し
5 目の前に夢語らせて胡蝶哉
6 おそ桜ほとけやをしみ給ふなる
7 としのうちに桜うゑよとはるのあめ
8 夢に来た翁とつれて枯野哉
9 遠山にして人恋しうす霞
10 塵こぼす雀の巣にも涙かな
11 うづみ火にうづくみをれば浪の音きこゆ
12 よしあしの岸やはなれて蓮の花
13 黄泉ならば西に入日にむかひて行かむ
14 いと苦し艸のみおふる夏の山路は
15 よぶこ鳥よべどもけふはあづま路に行く
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第二章 流刑地、川駅のある町で
16 岸べゆく舟より見れば松の影早し
17 夏山にひなのこゑする何の鳥そも
18 葛の葉をおさへてゐたり蝸牛
19 昼顔や酒場のあとの色にさく
20 日のあしの海へとゞかぬ尾花かな
21 舟に寝よ夜はみじかしと鶏の声
22 旅にして何しかやまらんこゝにいのらば
23 何処へ立旅ぞほとけの七歩ミ
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第三章 永久漂泊
24 ふき残る寒さとらへてちどり哉
25 伏せてある鍋は昼なり山桜
26 旅人の別れはありて麦の秋
27 木は蝉にもたれかゝりて夕日かな
28 雅地はこれ難行の中にあり
29 たてゝ猶冬の音あり門の松
30 行ちがふ鳥はもどりや水の上
31 あられふりてならの葉さやぐ伐て焼なも
32 菊の花秋や寒しとかさねつる
33 ゑり入て石尚寒し菊の花
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第四章 ボンデントビカラ、アイヌのモチーフ
34 雪の日は寒くこそあれ鉢たゝき
35 雪ふりてかれるおくてのかりほさぶしも
36 いくかへり花にあへりし仏なるらむ
37 つがるのゝ岩木の山のいはひづら
またいはひ来む此山みちを
38 雪ふればこねれが下にうぐひすの
うらぶれをらむ春待がてに
39 子どもらにことゝひすれば此岡に
若菜つむとふことゝひすれば
40 真さか木のまさかを神に我はいのらむ
41 ひとりたつ日は細道か翌日の秋
42 ことさへぐ唐にも行かむ道は此うみ
43 すがすがしくおはせいそぎてかくなむ
44 今すらも人すまぬ野に神さりし
その夜らいかにかなしかりけむ
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第五章 片歌のこころを
45 蜂のゐて草ふかゆりを折らず来けり
46 山ふかくなりゆくまゝにほとゝぎす
47 つばくらのふるくそおとすにひくはのうへ
48 なづきだをなづさひゆけばなみだしながる
49 道はしも唯一道ぞなほにかへらせ
50 植おきしがみな夏草となりにける
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「片歌」抄
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あとがき
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