未知谷の刊行物【海外文学】



 
主題と変奏 1916―1922
ボリース・パステルナーク 著 / 工藤正廣 訳・解説
四六判上製160頁 1,800円(税別)
ISBN978-4-89642-234-4 C0098



パステルナーク抒情詩集全七冊、ここに個人完訳!!
 
原詩をロシア音で声にだしていると、とにかくすごい音のひびき、音色、調子の、おどろくほどの美でもある。ほとんど音楽の演奏に近いだろう。ロシア語詩としても破格の展開で、まずこれほどの詩の音楽を作曲した詩人はロシアではいない。それがこの『主題と変奏』だった。意味は、音のずうっと底に秘められているにすぎない。(「あとがき」より)
代表詩集『わが妹人生』と表裏を成す難解な韻律定型詩集だが、そこに音楽的アヴァンギャルドな美が表現される、パステルナーク第四詩集。 ⇒[書評]

詩よ、ぼくはおまえに賭けて誓おう、
そしてしわがれ声でこう言い切ろう。
おまえは妙なる美声の物腰ではない、
おまえは――三等車の座席とともにある夏、
おまえは――郊外であって、リフレインではない。
 
おまえは――五月のように蒸し暑い御者街ヤムスカーヤ、
ボロジノ会戦の夜の野戦堡、
そこでは黒雲がうめき声をあげて
方々に離散していく。
 
そして一つに綯われたレールで二手に分かれながら、――
郊外の集落、同じ歌の繰り返しではなく――
駅々からわが家へと匍匐していく
歌などなしに、ただ茫然のていで。
 
土砂降り雨の枝々は花房のなかで汚れ、
そして長いこと、長いこと、夜明けまで、
屋根のうえから沓冠体の遊戯詩をつくりだす
押韻に泡を入れて。
 
詩よ、蛇口の下は
亜鉛バケツのような空疎な月並み、
そこに水がたまるとき、そのとき
一冊のノートがおかれ、――おまえは流れよ!
 
1922「詩よ」


目  次

五つの物語
インスピレーション 8/出逢い 10/マルガレーテ 14/メフィストフェレス 15/シェイクスピア 18
 
主題と変奏
主題 24/変奏 26(1 オリジナル/2 模倣/3 〈星たちはめぐった〉/4 〈雲。星たち。そして〉/5 〈彼はジプシー風の色彩を〉/6 〈日没の時間は草原で〉)9
 
病中
1 〈病人はみまもっている〉 42/2 〈星たちのひかりを浴びた〉 43/3 〈ひょっとしてそうかも〉 46/4 病人のジャケット 49/5 クレムリンは一九一八年の終わりの大吹雪の中へ 51/6 一九一九年の一月 54/7 〈黄昏になるとぼくには〉 56
 
決裂
1 〈おお 嘘つきの名人になった〉 60/2 〈おお 恥辱よ、きみはぼくの〉 61/3 〈ぼくはきみからすべての想念を〉 62/4 〈ぼくを障害せよ〉 63/5 〈波濤のような〉 64/6 〈幻滅したの、きみは〉 65/7 〈ぼくの友/9 〈震動するピアノは唇から〉 68
 
ぼくは忘れることができた
1 中傷者に 72/2 ぼくは忘却しえたのか? 75/3 〈そのようにして始める〉 76/4 〈ぼくらは少数〉 79/5 〈部屋のろうそくの火を〉 80
 
ニェスクーシヌイ公園
1 ニェスクーシヌイ 84/2 〈ありあまるほどに〉 85/3 ハシバミの木 87/4 森で 88/5 スパースコエ 90/6 新鮮であれ 93/7 冬の朝(五つの詩) 95(1〈大気はしろっぽい襞ひだ〉/2〈分別を失ったように〉/3〈何が不快なのかぼくには〉/4〈さあ、気合いをいれて〉/5〈閑話休題、ところで女性読者よ〉)/8 春(五つの詩) 103/(1〈春よ、ぼくは通りで偶然〉/2〈通風口は小窓に〉/3〈大気は降りしきる小雨に〉/4〈目を閉じよ。ひっそりとした〉/5〈鳥たちはさえずり〉)/9 夏の夜の夢(五つの詩) 111(〈はげしい口論だ〉/〈午前のあいだじゅう〉/〈雪崩の斜め鈎を〉/〈ライラック色した光沢の〉/〈飲んで、書け〉)/10 詩よ 119/11 二通の手紙 121(〈愛するひとよ、大至急です〉/〈数日前、一瞬のうちに〉)/12 秋(五つの詩) 124(〈あの日々から公園の〉/〈バルコニーへ出るドア硝子が〉/〈しかし彼らもまた色褪せる〉/〈春はただ単に〉/〈ここを謎の不思議な爪が〉)
 
対談 詩の翻訳のヴィジョンをめぐって
135 
パステルナークについて――日本の読者へ イリーナ・ザトゥロフスカヤ
151 
あとがき
153 
〈〉付きのタイトルは原書では無題

小社刊のボリース・パステルナークの著作物
[わが妹人生 1917年夏]
[初期 1912―1914 あるいは処女詩集から]
[バリエール越え 1914―1916]
[晴れよう時 1956―1959]
[早朝列車で 1936―1944]
[第二誕生 1930―1931]
[リュヴェルスの少女時代]
[物語]
[パステルナーク全抒情詩集]
[ドクトル・ジヴァゴ]
 
小社刊の工藤正廣の著作物
[TSUGARU (つがる)――物語の声・文体論レッスン――]
[ロシアの恋]
[片歌紀行 今に生きる建部綾足]
[永遠と軛 ボリース・パステルナーク評伝詩集]
[アリョーシャ年代記 春の夕べ]
[いのちの谷間 アリョーシャ年代記2]
[雲のかたみに アリョーシャ年代記3]
[郷愁 みちのくの西行]
[西行抄 恣撰評釈72首]
[チェーホフの山]
[〈降誕祭の星〉作戦 ジヴァゴ周遊の旅]
[1187年の西行 旅の終わりに]
[ポーランディア 最後の夏に]
[没落と愛 2023 РАЗОРЕНИЕ И ЛЮБОВЬ 2023г.]
 
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[機械と狼]
[ユリウシュ・スウォヴァツキ詩抄]
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書   名
著  者
単 価
冊数
主題と変奏 1916―1922
ボリース・パステルナーク 著
1,800円(税別)

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