未知谷の刊行物【海外文学】



 
英国紳士サミュエル・ピクウィク氏の冒険
チャールズ・ディケンズ 著 / 梅宮創造 訳
四六判336頁 3,000円(税別)
ISBN4-89642-141-8 C0097



イギリス小説史上、最も生気に満ち、またイギリス・ユーモアの典型とされる作品が、ディケンズの記念碑的大著『ピクウィク・ペイパーズ』である。
ピクウィク・クラブの会長、サミュエル・ピクウィク氏と会員、すなわち女好きのタップマン君、詩人肌のスノッドグラス君、野外スポーツならお手のものと宣うウィンクル君、この四人が珍しい体験を求めて旅に出る。尋常な旅ではない。笑いの底に驚きあり、驚きの果てに失望や哀しみあり、随所にほのぼのとした味わいが漂う。
個性豊かで多彩な登場人物は、人間喜劇の一大パノラマをなす。ロンドンっ子、サム・ウェラー君がピクウィク氏の下男として、旅のお供をしてからの展開は、息をつかせない。
この厖大な作品の超絶技巧的凝縮訳が、本書『英国紳士サミュエル・ピクウィク氏の冒険』800枚である。
ディケンズの精髄を、そしてヴィクトリア期英文学の大作をお楽しみいただきたい。
 
『ピクウィク・ペイパーズ』に寄せて
*厳密に云えば、ディケンズは、文学作品というよりも、むしろ一つの神話を作ったのだ。(G・K・ チェスタトン)
*『ピクウィク・ペイパーズ』は、真のイギリス的絆というもの、またイギリス人のアイデンティティなるものを、初めて喜劇的人物の裡に結晶させた――サミュエル・ピクウィクとサム・ウェラーとして。(ピーター・アクロイド)
*ディケンズの想像力は、すべてを圧倒する。(ジョージ・オーウェル)


目  次

    前口上

第1話 旅は道づれ
12 
第2話 決闘
28 
第3話 友の誘い
45 
第4話 一家団欒、老牧師の話
66 
第5話 災難の始まり
81 
第6話 騙される
93 
第7話 粋なロンドンっ子
107 
第8話 下男サム・ウェラー
122 
第9話 どたばた選挙
131 
第10話 女子寄宿学校
148 
第11話 ああ、情況の犠牲者よ
166 
第12話 手押し車にて
173 
第13話 悪徳弁護士
191 
第14話 寝室ちがい
204 
第15話 敵、見つけたり
220 
第16話 クリスマスの祝
237 
第17話 判決くだる
246 
第18話 入獄
277 
第19話 終り良ければ……
295 
    訳者あとがき
322 

チャールズ・ディケンズ [Charles Dickens] (1812―1870)
1812年、イングランド南部ポーツマス近郊に生れる。父親ジョンは海軍経理部の書記をつとめたが、ロンドン、チャタム、再びロンドンへと慌ただしく転勤した。チャールズ12歳のとき、父親ジョンが負債者監獄に投獄され、姉ファニーとチャールズを除いて、母も弟妹らも皆獄中に暮した。15歳で弁護士の事務員となり、その後、民法博士会館の記者、新聞の通信員、議会の速記記者と、ジャーナリズム界に頭角を現す。24歳にして処女出版『ボズ・スケッチ集』を上梓し、ふた月と経たぬうちに『ピクウィク・ペイパーズ』月刊分冊の発行を開始する。続いて『オリヴァ・トゥイスト』『ニコラス・ニクルビー』『骨董屋』『バーナビー・ラッジ』と健筆をふるい、最晩年の未刊作『エドウィン・ドルードの謎』まで主要作17篇。1870年、ギャズヒルの自邸にて急死。58歳。
 
梅宮創造 [うめみや そうぞう]
1950年、会津生れ。現在、早稲田大学文学部教授、英文学専攻。
著訳書として『子供たちのロンドン』(小沢書店)埼玉文芸準賞受賞、『拾われた猫と犬』(小沢書店)、『はじめてのシェイクスピア』(王国社)、T・L・ピイコック作『夢魔邸』(旺史社)、ジョージ&ウィードン・グロウスミス作『無名なるイギリス人の日記』(王国社)、ソール・タートルトブ作『じじバカ』(サンマーク出版)等。

小社刊のチャールズ・ディケンズの著作物
[ボズのスケッチ]


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英国紳士サミュエル・ピクウィク氏の冒険
チャールズ・ディケンズ 著
3,000円(税別)

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