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モルヒネ ブルガーコフ短篇集
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M・A・ブルガーコフ 著 / 町田清朗 訳
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四六判272頁 2,500円(税別)
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ISBN4-89642-140-X C0097
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奔放な語りの中に皮肉と諧謔で圧政や粛正を野次り倒し「巨匠とマルガリータ」「犬の心臓」「運命の卵」等々、作品が悉皆発禁となったブルガーコフ、医師・従軍・文筆家への転進、ほぼ自伝的と言われる初期作品集。
ブルガーコフが医師となった翌1917年には、ロシア革命が勃発。ボルシェビキが政権樹立する1918年まで、赤軍と反革命諸軍との内線が続き、キエフでは十数回の政権交代があった。彼はその各々に徴用され軍医として従軍した――。
表題作「モルヒネ」は作者自身の体験が、友人の医師の手記という形で語られる。禁断症状の苦痛の描写は勿論、モルヒネ摂取後の多幸感の記述はあたかも万華鏡を覗くがごとく圧巻。症状の進行と共に反道徳的行動が現われ、人格の荒廃は自己の生存より薬の確保を優先させる処にまで至る。モルヒネ中毒を医師の立場から描く稀有な作品。 ⇒[書評]
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目 次
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頁
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第一部
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愛の保証
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8
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カフェにて
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14
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啓蒙週間
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21
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赤い冠
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29
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キエフ市
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39
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話す犬
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60
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丸いハンコ
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67
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ボヘミアン
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71
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エジプトの暗闇
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83
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啓蒙週間
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21
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ある医師の異常な体験
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99
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第二部
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モルヒネ
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122
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カフスに書いたメモ
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175
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解題 251/あとがき 261/年譜 262
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ミハイル・アファナシエヴィチ・ブルガーコフ
[Михаил Афанасьевич Булгаков] (1891―1940)
1891年ウクライナのキエフ市生まれ。
1916年キエフ大学医学部卒業後、軍の前線病院、僻地の自治会病院等に勤務。ジフテリアに感染し、その際使用したモルヒネの中毒となる。帰郷し中毒を脱した後、コサックの軍医としてカフカスからチェチェンに赴く。権力に無批判に従う軍務に疑問を抱き、1920年には文筆活動に転進。国政に対しシニカルな作品が多く、小説・戯曲・評論、ことごとく発禁となる。スターリンに国外退去を願うもかなわず、失意の内に1940年没。ノヴォデヴィチ墓地のチェーホフやゴーゴリの傍に眠る。1966年作品の再評価と名誉回復がなされた。本邦でも2003年『巨匠とマルガリータ』が初演された。
町田清朗 [まちだ せいろう]
1938年弘前市生まれ
1957年青森県立弘前高校卒業
弘前大学医学部外科学第一講座修了
現在医療法人ときわ会老健施設明生園勤務
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