カルミネ・アバーテ [Carmine Abate]
1954年生まれ。出生地のカルフィッツィ(カラブリア州クロトーネ県)は、南イタリアに点在するアルバニア系住民(アルバレシュ)の共同体のひとつ。南伊プーリア州のバーリ大学を卒業後、ドイツに移住。1984年、ドイツ語による短篇集『かばんを閉めて、行け!(Den Koffer und weg!)』を発表し、作家としてデビュー(1993年、同作のイタリア語版『壁のなかの壁(Il muro dei muri)』を刊行)。1990年代半ばに北イタリアのトレント県に移住し、現在にいたるまで同地で生活を送る。La festa del ritorno(2004年。本訳書)や Il mosaico del tempo grande(2006年。『偉大なる時のモザイク』栗原俊秀訳、未知谷、2016年)など、架空のアルバレシュ共同体「ホラ」を舞台にした作品を複数手がけている。2012年、La collina del vento(『風の丘』関口英子訳、新潮社、2015年)でカンピエッロ賞を受賞。最新作は、「ホラ」とアメリカを舞台にした移民たちの物語『待つ幸福(La felicità dell'attesa、2015年)』。
栗原俊秀 [くりはら としひで]
1983年生まれ。京都大学総合人間学部、同大学院人間・環境学研究科修士課程を経て、イタリアに留学。カラブリア大学文学部専門課程近代文献学コース卒(Corso di laurea magistrale in Filologia Moderna)。訳書にジョルジョ・アガンベン『裸性』(共訳、平凡社)、アマーラ・ラクース『ヴィットーリオ広場のエレベーターをめぐる文明の衝突』、メラニア・G・マッツッコ『ダックスフントと女王さま』、ジョン・ファンテ『バンディーニ家よ、春を待て』、カルミネ・アバーテ『偉大なる時のモザイク』(未知谷)などがある。