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偉大なる時のモザイク
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カルミネ・アバーテ 著 / 栗原俊秀 訳
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四六判上製320頁 3,200円(税別)
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ISBN978-4-89642-496-6 C0097
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過去とは現在の記憶であり、
未来とは現在の希望である
南イタリアへ移住したアルバニア難民を
アルバレシュと呼ぶ。
繰り返される移住また移住、
閉塞した村人達の増幅する憎悪、
記憶と希望の錯綜。
500年前の祖先の逃走に始まり、
現代に至ってもまだ終わらない、
時空入り乱れて語られる
アルバレシュの架空の共同体
「ホラ」の過去・現在・未来。
第2回須賀敦子翻訳賞受賞!
〈選評より〉
「透明度が高く、きりっとした邦訳」(木村榮一さん)
「イタリア文学の新しい動向が窺えるアバーテ作品を若手訳者のみずみずしい訳文で〔……〕読めたのは大きな収穫」(柴田元幸さん)
「イタリアのマイノリティを描いた未知の小説を清涼な文体に写しとる栗原俊秀さん」(岡田温司さん)
「アバーテの長編は宮崎駿とル・クレジオを合わせたような長編で、貴重な試み〔……〕優れた訳文」(四方田犬彦さん)
「うるおいと烈しさが心地よく縒り合わされた訳文〔……〕言語的な混淆をも翻訳の冒険として挑み、みずみずしい物語世界を日本の読者に伝えることに成功した本書は、本賞にふさわしい訳業である」(和田忠彦さん)
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目 次
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頁
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すべてのはじまり
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1 瞳に映る影
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8
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2 モザイクの工房にて
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17
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3 逃走
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25
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偉大なる時のモザイク
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1 金色の髪の娘
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37
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2 待つあいだ
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43
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3 ティラナの踊り子
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52
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4 哀しい子供
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62
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5 モザイク列車
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68
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6 村の財宝
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76
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7 なんでも飲みます、ありがとう
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86
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8 二日酔い
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93
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9 ヤニ・ティスタとリヴェタの旅立ち
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100
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10 アルバニアへ
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106
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11 ブリュッセルにて
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117
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12 重なり合う影
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126
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13 カーネーションと濡れそぼつ髪
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135
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14 アッティリオ・ヴェルサーチェ先生の証言
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142
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15 ひとつめのホラをめざして
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149
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16 ヤニ・ティスタを待ちながら
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156
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17 卒業パーティー
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164
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18 ホラとアムステルダム、そして帰郷
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173
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19 〈ベサ〉と黄金の短剣
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183
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20 財宝を守る者
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191
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21 いやな夢とほんとうになった夢
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197
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22 パオロ・カンドレーヴァの証言
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205
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23 傷
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216
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24 美しきロッサニーザ
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223
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25 ドンナ・マルタの証言
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233
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26 海を前にしての叫び
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242
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27 偉大なる時の最後のきらめき
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250
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28 帰郷
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260
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最後の影
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1 逃走
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268
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2 モザイクの工房にて
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279
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3 瞳に映る影
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289
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終りのあと
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灰のきらめき
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296
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訳者あとがき
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303
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カルミネ・アバーテ [Carmine Abate]
1954年生まれ。出生地のカルフィッツィ(カラブリア州クロトーネ県)は、南イタリアに点在するアルバニア系住民(アルバレシュ)の共同体のひとつ。南伊プーリア州のバーリ大学を卒業後、ドイツに移住。1984年、ドイツ語による短篇集『かばんを閉めて、行け!(Den Koffer und weg!)』を発表し、作家としてデビュー(1993年、同作のイタリア語版『壁のなかの壁(Il muro dei muri)』を刊行)。1990年代半ばに北イタリアのトレント県に移住し、現在にいたるまで同地で生活を送る。『円舞(Il ballo tondo、1991年)』、『スカンデルベグのバイク(La moto di Scanderbeg、1999年)』、『偉大なる時のモザイク(Il mosaico del tempo grande、2006年。本訳書)』など、架空のアルバレシュ共同体「ホラ」を舞台にした作品を複数手がけている。2012年、La collina del vento(『風の丘』関口英子訳、新潮社、2015年)でカンピエッロ賞を受賞。最新作は、「ホラ」とアメリカを舞台にした移民たちの物語『待つ幸福(La felicità dell'attesa、2015年)』。
栗原俊秀 [くりはら としひで]
1983年生まれ。京都大学総合人間学部、同大学院人間・環境学研究科修士課程を経て、イタリアに留学。カラブリア大学文学部専門課程近代文献学コース卒(Corso di laurea magistrale in Filologia Moderna)。訳書にジョルジョ・アガンベン『裸性』(共訳、平凡社)、アマーラ・ラクース『ヴィットーリオ広場のエレベーターをめぐる文明の衝突』『マルコーニ大通りにおけるイスラム式離婚狂想曲』、メラニア・G・マッツッコ『ダックスフントと女王さま』、ジョン・ファンテ『デイゴ・レッド』『バンディーニ家よ、春を待て』(未知谷)がある。
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