ひとはなぜ歌い、なぜ書くのか
「二〇〇七年秋から翌年の春にかけて、NHK文化センター盛岡教室で、ハンセン病文学の講座を持たせていただきました。本書はそこでお話ししたことの一部をまとめたものです。
講座の趣旨は次のようなものでした。【らい予防法下のハンセン病療養所で、過酷な現実に堪えながら言葉を紡いだ人たちがいました。彼らの生きた姿と残した言葉をたどりながら、日本におけるハンセン病の意味を探り、同時に「ひとはなぜ歌い、なぜ書くのか」文学の原点について考えます】
……中略……
本にするに際し、文体を改めようかとも思いましたが、夜の教室で熱く語り合っていたあの頃がしみじみと思い出され、この本を手に取ってくださった方にも、肉声に近いかたちでお伝えしようと思いました。教室の中のひとりになったような気持ちで、耳を傾けて(読んで)いただければ、うれしいです。」
(本書「はじめに」より)
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広島大学でドイツ文学を教えて15年の
小林先生によるドイツ文学旅日記
長く滞在したケルンでのあれこれから
北ドイツへの旅
土地から思い出される、文学への思い
トーマス・マン、レッシング、ハイネ、リヒテンベルク、ビュヒナー、ゲーテ、ケストナー、ブレヒト……
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雑草の花
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木戸ェ行 著
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四六判上製280頁 3,000円(税別)
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ISBN978-4-89642-729-5 C0093
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世界55カ国を放浪し、
世界の広告賞を手にしてきたコピーライターが
豊かな経験をもとに書き上げた
「人が無理だと言うことを想いの力で成し遂げる」
爽快な青春小説!
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日韓併合の1910年
この論争は俄かに巻き起こり
今なおわれわれは惑わされている
既に戦前1920年代、
資料を素直に読み込んだ在野の学者によって
日中双方の文献学レベルでは証明され
その後考古学的裏付けもなされつつある
それよりはるか以前、江戸時代にも
常識であったその歴史像を
なぜ見失っているのか?
笠井新也は『魏志倭人伝』と『日本書紀・崇神紀』中国と日本双方の史料を詳細に読み解き、
1922、23、24年と3篇の論文によって
地名の一致、年代の一致、行路・行程の一致、
さらに人物事跡の一致を論証した。そして
18年後の1942年に4本目の論文を書き、
墳墓の一致をも論証した。つまり
文献学的研究に関する限り、ほぼ完璧に
卑弥呼と邪馬台国のナゾは解明された。
百襲姫=日本書紀に登場する倭迹迹日百襲姫命(やまとととひももそひめのみこと)、第10代天皇崇神の姑(おば)とされる巫女、箸墓(はしはか)古墳の主
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ギリシア悲劇余話
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丹下和彦 著
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四六判上製184頁 2,000円(税別)
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ISBN978-4-89642-730-1 C0098
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古代ギリシア文学を
自由自在に楽しみながら
人の世の営みや
人間のありようを考える
愉しいエッセイ集
*本書で言及される作品
ホメロス「オデュッセイア」
ホメロス「イリアス」
ステシコロス「ゲリュオン譚」
エウリピデス「アルケスティス」
アイスキュロス「テバイ攻めの七将」
ソポクレス「アンティゴネ」
エウリピデス「嘆願する女たち」
アイスキュロス「オレステイア」
ソポクレス「エレクトラ」
エウリピデス「エレクトラ」
ソポクレス「オイディプス王」
エウリピデス「フェニキアの女たち」
エウリピデス「アウリスのイピゲネイア」
エウリピデス「メデイア」
セネカ「メデア」……などなど
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64名の政治家、ジャーナリストのプロフィール
事態を理解するために重要な20のトピックと用語一覧
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足し算の生
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カルミネ・アバーテ 著 / 栗原俊秀 訳
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四六判上製192頁 2,200円(税別)
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ISBN978-4-89642-725-7 C0097
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友人たちよ、私は足し算の生を生きたい。
北と南、心の言葉とパンの言葉、私と私、
そのどちらかを選ぶよう、
誰かに強制されることなしに。(本文より)
「この作品は、アバーテ文学の種明かしだ」と訳者が語る、
旅立ちと帰郷、移住と郷愁、「旅立つ者」と「とどまる者」
対立と和解、世代を超えて反復される移住を様々な角度から描く
珠玉の短編集
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トリスティア いつも恋しいのは この安寧なる遠い丘
トリスティア いつも恋しいのは この過激なるロシアの幻想
トリスティア いつも恋しいのは
この過剰なる情熱(パッション)への魂の杖
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舞台はアントン・チェーホフ生誕の地
タガンローグ近郊はミレナの谷
激戦地マリウポリの東方百余キロ
だがこれは領土紛争の記録ではない
ロシア大地からふつふつと湧き出し
時に激しく逸脱して人々を駆り立てる
精神の内に宿る普遍性を考える物語
欧米的均質化を厭う心の持ちようは
だれもが私かに抱くものだろう
まるごと資本主義の落とし子である
近現代の小説言語から遠く離れた
詩的語りの文体は春のそよ風のように
乾いた心を癒してくれるに違いない
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ジェザベル
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イレーヌ・ネミロフスキー 著 / 芝盛行 訳
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四六判上製256頁 2,700円(税別)
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ISBN978-4-89642-726-4 C0097
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女が殺した、なぜか?
法廷には、美しさの気配を残す老女
20代の愛人を殺した廉で裁判にかけられている……
「私、彼を殺しました! 私を牢に入れて、私を殺して……私はそれに値します!……何度でもそれに値します。私には死と不幸が相応しい、でもなんでこんなに恥を並べ立てるの?……そうです、私は彼を殺しました、寛容なんて求めません。でも終わらせて、終わらせてください……」
何も話そうとしない女。一体何が起こっていたのか。
そして物語が始まる……
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彼女の作品は「非情な同情」というべき視点に貫かれている。
(アンリ・ド・レニエ)
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情報蒐集と分析洞察力は
世界でも有数のチャイナウオッチャー
朝河貫一博士顕彰協会前会長
矢吹晋の集大成!
別巻
予断を入れず基本文献を詳細に読み解く
学究信念を貫いた朝河史学の成果は
世界的評価を得、今尚検証に耐え得る
その学恩は継承されているのか!
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男と女の間の関係が不公平なのに
世界の救済を語ったところで
虚しいのではないでしょうか?
(リザ・ハイゼ 1919年8月23日の手紙より)
世界中の女性を勇気づけたあの
リルケ「若き女性への手紙」
これまで割愛され、
謎に包まれていた
「若き女性」からの16通
二〇〇三年初公開された
リルケ最後の一信
計17通を加え26通の手紙
その全貌を本邦初紹介
往復書簡として読むことで
リルケの内省、深い側面が見えてくる!
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軍部が正しさを独占する時代に
個人が自分の生き方を選択する
自由はほぼ無いといっても良い
ましていたいけな小学生のこと
学力・身体ともに優れた少年は
七つ釦は桜に錨…予科練へ進む
訓練半ばにして突然敗戦を迎え
一切合切ことごとくが瓦解した
人生は悉皆歪められてしまった
さりとても何かしなければ――
以来七十有余年渾身の私小説!
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江戸、歌麿が「雪月花」を描くに至る人生の物語と
現代、父と息子がそれぞれ歌麿を追いかける物語が
同時進行する二重小説
蔦屋重三郎に見出され、美人画で知られる絵師・喜多川歌麿
最高傑作と言われる《深川の雪》《品川の月》《吉原の花》肉筆画の大作3点
近江で生まれ江戸で活躍! 「雪月花」は栃木で描いた? 歌麿の数奇な生涯!
現代…「いまウタマロの小説を書いてみないかって、企画を持ち込まれてる」
耳にした父親がグイッとこっちを見て問いかけてきた。
「ウタマロって、あの歌麿のことか」「そうだよ、あの絵師の喜多川歌麿さ」
死を間近にした父と介護する息子、時空を超えて歌麿の「雪月花」が再生させる絆
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人はなぜ山に登るのか
なぜ生命を危険に曝すのか
そこに山があるから?
そこでは……
人生が単純で静かだから?
クリスチャン・モリエは一九四〇年生まれ。モンブランから落ちるボソン氷河の下、ペルラン村のすぐ隣のモンカール村で子供時代をすごした。そして、モンブラントンネルの建設がこの谷をすっかり変化させてしまったことを経験した。それは同時にガイドの職業形態や性格をも変えてしまった。彼はそうした詳細を彼の登攀や救助活動などをとおして誠実に誇張をまじえず書き残している。それはシャモニーのガイドの仕事や人生、悩みや喜びを語る貴重な記録となるだろう。
(「訳者のあとがき」より)
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