未知谷の新刊案内

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散文詩集 庭師
ラビンドラナート・タゴール 著 / 内山眞理子 訳
四六判上製160頁 2,000円(税別)
ISBN978-4-89642-718-9 C0098



これらは愛と人生をつづる抒情詩であり、ベンガル語からわたし自身が英訳した。英語散文詩集『ギーターンジャリ』に収録した宗教的な作品群よりも前にあらわしたものである。英訳はかならずしも直訳ではなく、抄訳あるいは意訳されている。ラビンドラナート・タゴール
(本書「序文」より)
 
***
 
西の方からやって来た煉瓦職人とその妻は、煉瓦を焼く窯を作ろうと、土を掘るのに忙しい。
夫婦の小さな娘は、河辺りの船着き場へ行って鍋や食器を洗い、磨いて擦ってはきりのない仕事に精を出す。
小さな娘には丸坊主の幼い弟がいて、褐色の肌は丸裸で、手足は泥だらけだ。弟は姉の後を追って来るが、姉の言いつけを守って土手の上で辛抱強く待っている。
小さな娘は、水を満たした水甕を頭上に抱えて家へ戻る。左手に磨き上げた真鍮の器をぶらさげ、右手で幼い弟を支えてやる。娘は母の小さな召使いとして、こまごまとした家事を律儀にこなす。
 
 
ある日のこと、この裸ん坊が両足を投げ出して坐っているのがわたしの目に入った。
姉は水際で、一握りの土を手に、湯呑をぐるぐる回しながら擦っていた。
ほど近いところに柔らかい毛の子羊がいて、草を食んでいた。
子羊は幼い弟のすぐ傍まで来ると、突然メェーと大きな鳴き声をあげた。弟は飛び上がって泣いた。
すると娘は、磨いていた湯呑を放り出して土手を駆け上がった。
片腕に幼い弟を、もう一方の腕に子羊を抱いて、娘はどちらにも優しい愛撫を等しく分け与えた。動物と人の子は、愛の絆で結ばれた。
(詩篇77)
 
***
 
あなたは誰ですか。今から百年後にわたしの詩を読んでいるあなたは。
この豊かな春の富から花一輪も、彼方の雲に浮かぶ一筋の金色の輝きも、わたしはあなたに贈ることができません。
あなたの扉を開いて外を見てください。
花の咲き匂うあなたの庭から、百年前に消え去った花々の香り高い記憶を集めてください。
かつて生きる喜びが春の朝をうたった、その声が、百年の時を超えてあなたに届いて、あなたが心の喜びのままに感じ取ってくださいますように。
(詩篇85)
 
***
 
原書The Gardenerは1913年出版。85篇の散文詩を収録。



 
モスカット一族
アイザック・バシェヴィス・シンガー 著 / 大さきふみ子 訳
四六判上製872頁 6,000円(税別)
ISBN978-4-89642-717-2 C0097



本作で描かれるのは20世紀初頭、ポーランド・ワルシャワ
近代化と戦争に揺れるユダヤ人社会
実利に聡く独善的で気難しい絶対的な長がいた栄華から
三世代を経て、伝統的家族社会は内部から崩壊していく
その間、ポーランド独立回復を目指す数度の蜂起
ロシア革命、第一次世界大戦
独立回復、ポーランド・ソヴィエト戦争
ナチスのポーランド侵攻、第二次世界大戦…
100人以上の登場人物が蠢く、
900頁に迫る大長篇
作品の最高潮は最後のセンテンスに…!
お見事! とうなずくしかない
ノーベル文学賞作家の筆力



 
塵に訊け
ジョン・ファンテ 著 / 栗原俊秀 訳
四六判上製288頁 3,000円(税別)
ISBN978-4-89642-715-8 C0097



30年代の頽廃、ビートニクの先駆
所は照りつける太陽と視界を奪う
砂漠の塵が舞うロサンゼルス――
ワラチを履いたメキシコ娘カミラ
作家志望のイタリア系アルトゥーロ
差別される者どうしの共感が恋に
震え、疾駆し、うなり、転げる生
80年の再刊で沸騰した名著の新訳
***
ブラック・スパロウ版には、チャールズ・ブコウスキーが序文を寄せている。……このたびの新訳では、訳者の判断により「附録」として作品の末尾に置くこととした。ブコウスキーの言葉を介さずに、まずファンテ自身の作品に触れてほしいという願いがあるからである。……本書を含め六冊の日本語訳がそろったいま、そろそろ、「ブコウスキーによって再発見された」という枕詞から、ファンテを解放してもいいのではないかと訳者は感じている。
(「訳者あとがき」より)
***
一行一行が軽やかにページを転がっていく、言葉がほとばしっている。すべての行にエネルギーが宿っていて、同じように力強い行がそれに続く。各行の核となる部分がページに形を与え、そのなかに刻まれたなにかの感覚を伝えている。しかも、この男は感情を恐れていない。ユーモアと痛みが、どこまでも飾り気なく混ぜ合わされている。あの本の冒頭は私にとって、けたはずれの荒ぶる奇跡だった。……本のタイトルは『塵に訊け』、著者の名前はジョン・ファンテだった。
(「チャールズ・ブコウスキーによる序文」より)

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キャサリン・タイナン短篇集
キャサリン・タイナン 著 / 高橋歩 訳
四六判上製160頁 1,800円(税別)
ISBN978-4-89642-716-5 C0097



9世紀バイキング襲来
12世紀には英国初の植民地とされたアイルランド
19世紀末は750年にも及んだ
英国の支配から脱する最後の局面だった
 
詩・小説・新聞記事、
多種多様な文筆活動で鋭い社会意識を表現したキャサリン
特に強い関心を寄せて
定期的に取り上げていたのは
未婚の母、嬰児殺し、死刑、
貧困層の教育問題、等々
 
彼女が遺した102以上の
小説から、短篇9篇を厳選
摩訶不思議な話
思いもよらない結末
アイルランドの海――



 
ベケットのことば
日本サミュエル・ベケット研究会 編集 / 木内久美子 監修
四六判上製344頁 3,600円(税別)
ISBN978-4-89642-714-1 C0098



日本サミュエル・ベケット研究会創設30年記念
 
各論文執筆者に選択されたベケットのことば
それぞれのことばは論文内容と絶妙に響き合う
 
日本におけるサミュエル・ベケット作品の紹介や
文学的議論の深まりをリードしてきた
日本サミュエル・ベケット研究会
 
直接ベケットに会い議論を交わした論者から、
20代後半の大学院生まで、総勢10名による
多種多様なベケット論を集成した稀な論集



 
婚礼
《ポーランド文学古典叢書》第11巻

スタニスワフ・ヴィスピャンスキ 著 / 津田晃岐 訳
四六判上製208頁 2,500円(税別)
ISBN978-4-89642-711-0 C0398



分割下、祖国を奪われていたポーランドの
国民意識を揺さぶった傑作戯曲として今も愛される
ポーランド文学の至宝、ついに邦訳成る
 
『終わりと始まり』のシンボルスカの暮したポーランドの古都クラクフ
時は一九〇〇年頃、芸術家や知識人が近郊の村へ赴くことが流行した
ある者は作品の霊感を求め、ある者は旧時代のノスタルジーを
ある者はポーランド再興の原動力を、農民とその文化習俗に探していた
そこで行われた友人の結婚式に着想を得たヴィスピャンスキは…
 
実在の人物たちをモデルに
実際に村で話されていた話し言葉で描かれる
町の貴族と村の百姓娘の婚礼
中心人物はおらず、夜明け前の異様な時間へ
それぞれが抱いていた夢や幻想ごと
婚礼の夜そのものがそこに
全三幕

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現代の古典カント
ヘルベルト・シュネーデルバッハ 著 / 長倉誠一 訳
四六判上製256頁 3,000円(税別)
ISBN978-4-89642-713-4 C1010



1 私は何を知ることができるか
2 私は何を為すべきか
3 私は何を希望することが許されるのか
4 人間とは何か
 
カントはなぜこのような発想を得たか
彼の死後、現在に至るまでどう受容されてきたか
綿密かつ詳細かつ明晰な思索と説明に同伴すると
はじめの4つの問いへの応答が明らかになる
申し分ない稀有なカント哲学の入門的決定版
 
 
本書のように面白いカント本には出合ったことがない
実にお見事…(「訳者あとがき」より)



 
わかれみち
ヴィジョンアーキテクトが見つめた歴史

谷口江里也 著
四六判上製224頁 2,500円(税別)
ISBN978-4-89642-700-4 C0095



瑣末な資料に拘泥することなく
歴史のダイナミズムをマクロの目で捉え
錯綜する全体像の中の一点を凝視する
ヴィジョンアーキテクトの視線
誰もが首肯する納得の見解
 
 
歩むことなく通り過ぎた無数のわかれみち、あるいは夢として想い描かれながらも、形を得ることのなかった幻の路。けれど、私たちの社会が辿らなかった路が、私たちが結果として歩んできた路より、劣っているという訳では決してありません。この本が、そんな多くのわかれみちや、これからのあるべき社会のありようを考える機会となれば幸いです。
(「この本について」より)

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三浦綾子の生涯 堀田綾子から三浦綾子へ
村田和子 著
四六判上製256頁 3,000円(税別)
ISBN978-4-89642-699-1 C0095



三浦綾子生誕101年没後24年
初めて明らかにされる最後の7年間を含む全生涯
年譜形式で読む評伝(1922〜99)
 
1964年、朝日新聞一千万円懸賞小説 42歳の雑貨店主婦受賞!「氷点」ブームとなり、新聞連載、単行本(刊行年に71万部)、ラジオ、TV、映画、舞台とドラマ化、列島に氷点旋風が吹き荒れた。以後本格的な作家活動に入り、「塩狩峠」「泥流地帯」「天北原野」等、ヒット作を書き続け、晩年の「銃口」まで生前全集20巻に及ぶ作品を残した 三浦綾子の77年――
 
人気作家三浦綾子から
《全幅の信頼を置く》と
公言された若き友人村田和子
この世での最期の瞬間まで
傍に付き添い……
「綾子が通らざるを得なかった
道のりをつぶさに見た者の
務めとして書き残す」
1922年生誕から99年晩年まで
年譜形式で読む77年の生涯

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ご馳走帖 古代ギリシア・ローマの食文化
丹下和彦 著
四六判上製144頁 1,800円(税別)
ISBN978-4-89642-698-4 C0098



約2000年前の地中海海域
 

古代地中海海域の住民たち(概ね古代ギリシア、ローマ時代の人間を想定している)彼らは何をどのように食べかつ飲んでいたか? 現代と比べて飲食の環境はけっして恵まれていなかったはずだが、いや、いや、驚くほど多種多様な食材を心ゆくまで堪能している。
食事は愉楽である。人間、旨い食事にありつけばたちまちにして心は喜び溢れ、舌は鼓を打ち、満面笑みこぼれる。そのいっときの歓楽を、彼らはそれぞれに書き記した。それがいまに残っている。多種多様な食材、その調理法、食事風景、その品定め……(「あとがき」より)

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ウクライナの真実 国家の現況2010
ナターリヤ・セメンチェンコ 著 / 織田桂子 訳
四六判上製224頁 2,000円(税別)
ISBN978-4-89642-696-0 C0036



なぜ戦争は起こったか?
今なおキーウに留まるウクライナの経済学者・ジャーナリスト
2010年、ウクライナ国民に向けて国の現況を訴えた一書
 
……この本は戦争が始まる十二年前に書かれたものです。
そしてこの本は戦争についての本ではありません。
この本はウクライナの歴史の流れの中でずっと独立を手にしようと、
自らの文化や伝統を守ろうと努めて来た民族についての本です。……
(本書「親愛なる日本の読者の皆様へ」より)
 
原題:Охота на правду



 
素晴らしき自転車レース
谷口和久 著
四六判上製256頁 2,500円(税別)
ISBN978-4-89642-697-7 C0095



ジロ、ツール、歴代スター選手、峠の話はもちろん、
レースやスターにまつわる歴史に残る良い話や
自分の自転車とその遍歴の話、読んでいるうちに
レースの基礎、歴史、社会、地誌にも詳しくなってしまう
自転車を巡るイタリアのエッセイ38話
 
日本イタリア会館会報誌『コレンテ』好評連載13年分



 
南方ノート・戦後日記
大佛次郎 著 / 大佛次郎記念館 編
四六判上製352頁 3,600円(税別)
ISBN978-4-89642-695-3 C0095



大佛次郎研究にとって重要であることは言うに及ばず
ノートを通じて浮かび上がる軍政下の南方の日常や
敗戦直後の日本、被占領下の暮らしや創作の記録など
東南アジア史研究、戦後文壇史、文化史研究にとっても
非常に高い価値を有し、読んでまた興味深い史料
 
昭和18年11月から3ヶ月、同盟通信社の嘱託として
南方(現シンガポール、マレーシア、インドネシアなど)
視察に赴いた際に記した6冊の大学ノートと
昭和21年3月から25年8月迄
断続的に記した8冊の日記群


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