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ゴライの悪魔
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アイザック・バシェヴィス・シンガー 著 / 大アふみ子 訳
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四六判上製240頁 2,500円(税別)
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ISBN978-4-89642-751-6 C0097
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ノーベル賞作家シンガーの処女長篇
一刀両断で正邪を決し、二者択一の世界観を掲げる偽メシアは、姿を変えて
いつの時代にも変わらず現れる。17世紀であろうが21世紀であろうが……
〈冒頭より〉
1648年に、邪悪なウクライナ・コサックの首領ボグダン・フメリニツキーとその配下の者たちがザモシチの町を包囲したが、町を落とすことはできなかった。…反乱に加わって強盗となった農民たちは移動を続けて荒らし回り、トマショフ、クラシニク、トゥルビン、フラムボル(いずれもポーランド東部)を破壊し――そしてゴライ、地の果ての丘陵地帯のただなかにある町も……
ラビ・ベニシュ・アシュケナジ:長年共同体を導いてきた高名なラビ
オゼル:ラビ・ベニシュの長男。五十代に近い
レヴィ:ラビ・ベニシュの末の息子。三十代
ネヘレ:レヴィの妻。良家の出
エレアザル・ババド:かつてはゴライで最も裕福だった市民
レヘレ:エレアザル・ババドの娘。十七歳で、左足が不自由
グルナム:〈堂守りのグルナム〉。宗教施設の世話役で、ラビの補佐役
モルデカイ・ヨセフ:足の不自由なカバラー主義者
イチェ・マテス:ゴライを訪れた行商人で書記
ゲダリヤ:ザモシチの儀式屠畜人でサバタイ・ツェヴィの信奉者
ゴデル・ハシド:ゴライの市民
チンケレ:〈信心者のチンケレ〉。ボヘミア出身の女
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目 次
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頁
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第一部
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第1章 ゴライの一六四八年
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7
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第2章 ラビ・ベニシュと彼の家族
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14
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第3章 いくつかの尋常ならざるうわさ
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21
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第4章 ゴライの今昔
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30
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第5章 女とラビの使節
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40
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第6章 レブ・モルデカイ・ヨセフ
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47
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第7章 レブ・エレアザル・ババドと彼の娘レヘレ
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54
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第8章 ルブリンでのレヘレ
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61
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第9章 行商人レブ・イチェ・マテス
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68
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第10章 レブ・イチェ・マテスは人を送ってレヘレに結婚の申し込みをする
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77
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第11章 ルブリンからの手紙
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85
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第12章 ラビ・ベニシュがサバタイ・ツェヴィ一派との戦いに備える
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94
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第13章 「あっちの者たち」が現れる
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101
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第14章 ラビが彼の会衆を見捨てる
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108
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第二部
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第1章 結婚式
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117
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第2章 祝祷の七日間
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124
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第3章 レブ・ゲダリヤ
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132
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第4章 ゴライの歓喜
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138
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第5章 レヘレが預言する
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147
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第6章 汚物の山での結婚式
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154
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第7章 結合の時間
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161
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第8章 金色の上着とマジパンのキャンディ
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168
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第9章 悪魔が勝利する
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176
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第10章 〈信奉者たち〉と〈反対者たち〉
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184
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第11章 聖なる者と冒涜する者
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191
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第12章 レヘレはサタンによって身ごもる
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199
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第13章 ゴライのディブック
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205
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第14章 レヘレの死
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214
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訳者解説
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225
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アイザック・バシェヴィス・シンガー
[Isaac Bashevis Singer]
1903年、ポーランドのワルシャワ郊外でユダヤ教のラビの子として生まれる。1920年代半ばからイディッシュ語による短篇小説を発表し始める。35年に兄で作家のイスラエル・ジョシュア・シンガーの援助で渡米。その後もイディッシュ語で作品を書き続け、1970年と74年に全米図書賞を、78年にノーベル文学賞を受賞する。長篇小説、短篇小説、童話、エッセイ、回想録など、多くの作品が英訳されている。日本語に翻訳された小説としては『奴隷』、『罠におちた男』、『ルブリンの魔術師』、『ショーシャ』、『悔悟者』、『メシュガー』、『モスカット一族』他、短篇集としては『短かい金曜日』、『タイベレと彼女の悪魔』、『カフカの友と20の物語』、『ばかものギンペルと10の物語』他、回想録に『よろこびの日』、『父の法廷』他、童話に『やぎと少年』、『お話を運んだ馬』、『まぬけなワルシャワ旅行』他、多数ある。また短篇集『不浄の血』はイディッシュ語から翻訳されている。1991年にアメリカで亡くなった。
大アふみ子 [おおさき ふみこ]
1953年生まれ。明治大学文学部文学研究科博士後期課程単位取得退学。鶴見大学名誉教授。著書に『アイザック・B・シンガー研究』(吉夏社)、『国を持たない作家の文学――ユダヤ人作家アイザック・B・シンガー』(神奈川新聞社)。共著書に『神の残した黒い穴を見つめて――アメリカ文学を読み解く/須山静夫先生追悼論集』(音羽書房鶴見書店)、『エスニシティと物語り――複眼的文学論』(金星堂)、『笑いとユーモアのユダヤ文学』(南雲堂)、『父と息子の物語――ユダヤ系作家の世界』(彩流社)など。翻訳書にアイザック・B・シンガー『ルブリンの魔術師』、『ショーシャ』、『悔悟者』、『タイベレと彼女の悪魔』、『メシュガー』(いずれも吉夏社)、『モスカット一族』(未知谷)がある。
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