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虫けらの群霊
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パウル・シェーアバルト 著 / 鈴木芳子 訳・解説 / スズキコージ 挿絵・装幀
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四六判上製160頁 1,800円(税別)
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ISBN978-4-89642-356-3 C0097
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惰眠をむさぼる「善良なる市民」へ
神になろうとした虫けらの霊たちが
翼あるリュージュや竹馬マシーンに乗って疾駆する
プレ・ダダの旗手渾身の冒険譚!
書き下ろし挿絵20点。
シェーアバルトの自然観・人間観・宇宙観は、古代ローマの哲人皇帝マルクス・アウレーリウスの「星とともに走っている者として星の運行をながめよ。また元素がたがいに変化し合うのを絶えず思い浮かべよ。かかる想念は我々の地上生活の汚れを潔め去ってくれる」(『自省録』)という言葉と響き合う。宇宙の新たな造形を夢見る建築詩人の壮大な未完のユートピアは、現代においていかにして人類はポエジーとテクノロジーを結びつけ、幸福を紡ぐことができるか、そんな問いかけに満ちている。
(「解説・あとがき」より)
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目 次
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頁
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神々
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5
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タマゴ
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30
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歓喜
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43
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大芝居
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56
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嘆き
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79
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神殿
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94
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疾走
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109
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勝利
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121
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解説・あとがき
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129
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主要参考文献
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157
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パウル・シェーアバルト [Paul Scheerbart]
1863年ダンツィヒ生まれ。当初は宣教師を志したが、哲学と美術史を学び、ベルリンで詩人・作家・画家として活躍。SFの先駆者、もっとも注目すべきプレ・ダダイスト。最初の音響詩やグロテスク小説、革命演劇を執筆、永久機関の実験に耽り、「ガラス建築」を通じて芸術によって地球を祝祭的に変容させるビジョンを構想、ベルリン・ダダイストとブルーノ・タウトら「ガラスの鎖」の建築家たちに大きな影響をおよぼした。代表作に『億万長者ラコックス』『永久機関』『小遊星物語』『ガラス建築』など。1915年没。2010年ドイツで『永久機関』が舞台化され、新たに脚光を浴びている。
鈴木芳子 [すずき よしこ]
1987年早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了。ドイツ文学専攻・翻訳家。1999年ゲーテ・エッセイコンクール受賞(ドイツ語)。訳書にヒュルゼンベック編著『ダダ大全』、カール・アインシュタイン『ベビュカン』『黒人彫刻』『二十世紀の芸術』、ミュノーナ『スフィンクス・ステーキ』、ローゼンクランツ『醜の美学』、ボルヒェルト『たんぽぽ』(いずれも未知谷)他。『ベビュカン』で2004年度M・ダウテンダイ(日独翻訳)賞受賞。
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