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醜の美学
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カール・ローゼンクランツ 著 / 鈴木芳子 訳・解説
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四六判416頁 4,000円(税別)
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ISBN978-4-89642-181-1 C0010
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ヘーゲルは美学から
醜さを除外した
ローゼンクランツは
「美」の対極に「滑稽」を置き
「醜」をその中間の
相対的存在として位置づけた――
都市化、工業化による急激な社会変革、プロレタリアートの台頭――。あらゆる社会問題の醜は芸術にも浸透し、真・善・美の統一的美的価値観は危殆に瀕す。「醜」の美学的是認の機は熟した!
カント、ヘーゲル、レッシング、ゲーテ、ハイネ、シェイクスピア、ヴォルテール、ラファエロ、ブリューゲル、カロー etc.
建築、彫刻、絵画、詩文学、演劇……。自然界からギリシア神話、あらゆる芸術ジャンルを厖大な資料のもと古今にわたって検証し、美学のなかの「醜」という新たなパラダイムを提示する。
1853年、美学の革新的テーマ「醜」に真正面から取り組み、後世に多大な影響を及ぼした、閉塞的な現代に生きる我々にいかにして美を見出すことができるかを問う美学の古典的名著、待望の翻訳!
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目 次
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頁
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序文
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1
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導入
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13
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負全般 18/不完全なもの 19/自然界の醜 21/精神の醜 29/芸術の醜 35/個々の芸術における醜の比較 44/醜における快 47/区分 48
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第一章 形の定まらないもの
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61
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I 無定形
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63
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II アシメトリー
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70
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III 不調和
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89
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第二章 不正確
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101
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I 不正確一般
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103
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II 特殊様式における不正確
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121
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III 個々の芸術における不正確
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130
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第三章 歪曲もしくはゆがみ
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143
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I 卑俗なもの
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153
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A 狭小なもの 156/B 弱々しいもの 161/C 卑小なもの 170
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II 厭わしいもの
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235
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A ぶざまなもの 241/B うつろで生気なきもの 244/C おぞましいもの 252
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III カリカチュア
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324
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結び
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361
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解説・あとがき
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367
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主要参考文献 396/主要人名索引 404
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カール・ローゼンクランツ [Karl Rosenkranz] (1805―1879)
1805年マグデブルク生まれ。ドイツの哲学者・美学者、ヘーゲル学派。ベルリンで神学・哲学・文献学を学んだ後、ハレ大学でヘーゲル哲学を体系的に学ぶ。1828年教授資格取得、1832年ハレ、ついで1833年ケーニヒスベルク大学哲学教授に就任。主著『神学的諸学問のエンチクロペディー』『ヘーゲルの体系に関する批判的解明』『カント哲学の歴史』『知の体系』『論理学理念』をはじめ、『ヘーゲル伝』『ゲーテ伝』『ディドロ伝』といった評伝や自伝『マグデブルクからケーニヒスベルクへ』など、きわめて広汎な著作活動を展開。地方都市で文化と学問に貢献、1879年没。
鈴木芳子 [すずき よしこ]
1987年早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了、ドイツ文学専攻・翻訳家。1999年ゲーテ・エッセイコンクール受賞(独語)。訳書にフォイヒトヴァンガー『宮廷画家ゴヤ』(エディションq)、ヒュルゼンベック編著『ダダ大全』、カール・アインシュタイン『ベビュカン』『黒人彫刻』、ミュノーナ『スフィンクス・ステーキ』(いずれも未知谷)他。2004年度M・ダウテンダイ(日独翻訳)賞受賞。
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