未知谷の刊行物【海外文学 / チェーホフ・コレクション】



 
谷間で
アントン・P・チェーホフ 作 / エカテリーナ・タバーフ 絵 / 中村喜和 訳
A5判上製64頁 2,200円(税別)
ISBN978-4-89642-282-5 C0097



更紗工場が3つ、革なめしの工場が1つ――谷間のウクレーエヴォ村
ツイブーキン家の表向きは食料雑貨店、裏ではウォッカ密売……
主人の後妻と美しき次男の嫁、長男のもとへ嫁いでくる日雇い娘リーパ
三人の女性を軸に、長男の贋金づくりが発覚するや恐るべき事件が!
何気ない日常の裏側に潜む冷酷非情さ……悪人は美しいほど恐ろしい!
全てを包みこむ母なる大地に、
ロシア人の理想像ともいうべき二人の老人の言葉が響く
「こういうことじゃぞ、おまえさん。苦労する者、我慢する者が上なんじゃ」
「何でも分かるってことはないんじゃ……鳥には羽が四枚ではなく、二枚と決められている。二枚で飛ぶことができるからじゃ。人もすべてを知ることは許されていないのじゃ。分かるのは半分か、またその半分だけじゃ。生きるのに必要なことだけ分かるってことだな」
――トルストイも感激した、チェーホフ晩年の傑作中篇
 
ロシア・アニメの巨匠ノルシュテインの娘
アニメーターで美術家のエカテリーナが描くチェーホフの世界!
チェーホフ・コレクション第15弾

アントン・P・チェーホフ
[Anton Pavlovich Chekhov]
(1860―1904)
庶民の子として生まれ、中学の頃から苦学を重ねた。モスクワ大学医学部在学中も家計を助けるため、ユーモラスな短篇を多数の雑誌に発表。社会的関心も高く、結核を患いつつ社会活動や多彩な創作を展開した。本書「谷間で」の他「カシタンカ」「ステーピ」「サハリン島」「中二階のある家」「犬を連れた奥さん」等の中・短篇、四大戯曲といわれる「かもめ」「ワーニャ伯父さん」「三人姉妹」「桜の園」等がある。鋭い視線で市井に取材し、ありふれた出来事の中に人生の深い意味を描き込み、社会の醜さを描きながらも明るい未来を予感させる作品が多い。
 
エカテリーナ・タバーフ
1970年モスクワ市で、アニメーション監督Y. ノルシュテインを父に、美術監督F. ヤールブソワを母に誕生。87〜93年チェーホフ記念モスクワ芸術アカデミー劇場付属演劇学校の舞台装置学科で学ぶ。ここで未来の夫、ロマン・タバーフと知り合う。97〜98年モスクワのアニメーションスタジオの特別コースを修める。美術家、アニメーターとしてモスクワとサンフランシスコのスタジオで活躍。現在、夫と1男1女と共にアメリカ在住。本書の他、日本版オリジナル絵本にチェーホフ・コレクション『少年たち』(未知谷)がある。
 
中村喜和 [なかむら よしかず]
一橋大学でロシア語を学ぶ。日本貿易振興会勤務の後、東京大学、一橋大学、共立女子大学で、ロシア語を教える。専攻はロシア文化史。日露関係史にも関心をもち、論考を発表。著書・訳書は『ロシア中世物語集』(筑摩書房)、『ロシア民話集』(上下、岩波文庫)、『聖なるロシアを求めて』(平凡社、大佛次郎賞受賞)、『ロシアの風』(風行社)、チェーホフ・コレクション『箱に入った男』『僧正』『恋について』『泥棒たち』(未知谷)等。

チェーホフ・コレクション
[中二階のある家 ある画家の物語]
[カシタンカ]
[ロスチャイルドのバイオリン]
[チェーホフとの恋]
[大学生]
[可愛い女]
[たわむれ]
[北ホテル48号室 チェーホフと女性たち]
[すぐり]
[少年たち]
[いいなずけ]
[箱に入った男]
[僧正]
[恋について]
[泥棒たち]
[黒衣の修道僧]
[チェーホフ自身によるチェーホフ]
[首にかけたアンナ]
[エゴール少年 大草原の旅]
[モスクワのトルゥブナヤ広場にて]
[ワーニカ]
[チェーホフのこと]
[チェーホフさん、ごめんなさい!]
[チェーホフの生涯]


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谷間で
アントン・P・チェーホフ 作
2,200円(税別)

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