未知谷の刊行物【海外文学 / チェーホフ・コレクション】



 
少年たち
アントン・P・チェーホフ 作 / エカテリーナ・タバーフ 絵 / 児島宏子 訳
A5判美装上製カラー40頁 2,000円(税別)
ISBN4-89642-178-7 C0097



新天地アメリカへの冒険に心惹かれる「少年たち」
夜の病院に一人残された少年を描く「小さな逃亡」
レフ・トルストイが厳選したチェーホフの30作品中で
特に年少者のために選び好んで朗読した作品を収録
 
この二作品の絵を描いてくださったのはユーリー・ノルシュテインの娘エカテリーナ(愛称カーチャ)だ。以前からノルシュテインは「娘は私より才能がある。私は非常に努力するのだが、彼女はそうしなくても描けるのだから羨ましい」と呟いていた。私はいつか、カーチャと仕事ができないものかと考えていた。あるときカーチャも母親のフランチェスカも大のチェーホフ好きということが分かった。私は即座にカーチャにチェーホフコレクションへの参加をお願いした。父親そっくりの形で、色は母親そっくりの目を大きく見開いてカーチャは「ああ、嬉しい!」と叫んだ。私も小躍りして喜んだ。後にノルシュテインの知るところとなり、彼はあきれたような表情をして「まあ、いいけどねえ……」と言った。親は心配だよ、と言いたかったのだろう。ともかく、カーチャはとても素敵な仕事をしてくれたと思うが、読者のみなさんはいかが思われますか?(「訳者あとがき」より)


目  次

少年たち

小さな逃亡
21 
 訳者あとがき
37 

アントン・P・チェーホフ
[Anton Pavlovich Chekhov]
(1860―1904)
庶民の子として生まれ、中学の頃から苦学を重ねた。モスクワ大学医学部在学中も家計を助けるため、ユーモラスな短篇を多数の雑誌に発表。社会的関心も高く、結核を養いつつ社会活動や多彩な創作を展開した。本書「少年たち」の他「カシタンカ」「ロスチャイルドのバイオリン」「大学生」「可愛い女」「ステーピ」「サハリン島」「中二階のある家」等の中・短篇、四大戯曲といわれる「かもめ」「ワーニャ伯父さん」「三人姉妹」「桜の園」等がある。鋭い視線で市井に取材し、ありふれた出来事の中に人生の深い意味を描き込み、社会の醜さを描きながらも明るい未来を予感させる作品が多い。
 
エカテリーナ・タバーフ
1970年モスクワ市で、アニメーション監督ノルシュテインを父に、美術監督ヤールブソワを母に誕生。1987年〜93年チェーホフ記念モスクワ芸術アカデミー劇場(モスクワ芸術座)付属演劇学校の舞台装置学科で学ぶ。ここで未来の夫、ロマン・タバーフと知り合う。1997年〜98年モスクワのアニメーションスタジオ“パイロット・スタジオ”の美術・アニメーター特別コースで学ぶ。美術家、アニメーターとしてモスクワとサンフランシスコのスタジオで仕事をする。現在、夫と1男1女とアメリカ在住。
 
児島宏子 [こじま ひろこ]
映画、音楽分野の通訳、翻訳、執筆に広く活躍。訳書に『ドルチェ・優しく』(岩波書店)、『チェーホフは蘇る』(書肆山田)、『チェブラーシカ』(平凡社)、『きりのなかのはりねずみ』『きつねとうさぎ』(福音館書店)、『アオサギとツル』『カシタンカ』『ロスチャイルドのバイオリン』『大学生』『可愛い女』『たわむれ』『すぐり』(未知谷)等。日本絵本賞ほか受賞。

チェーホフ・コレクション
[中二階のある家 ある画家の物語]
[カシタンカ]
[ロスチャイルドのバイオリン]
[チェーホフとの恋]
[大学生]
[可愛い女]
[たわむれ]
[北ホテル48号室 チェーホフと女性たち]
[すぐり]
[いいなずけ]
[箱に入った男]
[僧正]
[恋について]
[泥棒たち]
[谷間で]
[黒衣の修道僧]
[チェーホフ自身によるチェーホフ]
[首にかけたアンナ]
[エゴール少年 大草原の旅]
[モスクワのトルゥブナヤ広場にて]
[ワーニカ]
[チェーホフのこと]
[チェーホフさん、ごめんなさい!]
[チェーホフの生涯]


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少年たち
アントン・P・チェーホフ 作
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