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美と倫理
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セーレン・オービュイ・キルケゴール 著 / 飯島宗享・浜田恂子 共訳 / 菊地信義 装幀
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四六判上製352頁 3,000円(税別)
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ISBN978-4-89642-004-3 C1010
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全五分冊「あれか・これか」全訳完結
純粋な真善美幸福、
青春の憧れを超え、
絶望して目覚めよ。
倫理的なものと宗教的なものと両者共通の対立項である美的=感性的なものの理念を明らかにして、感性的陶酔を覚醒することが望まれる。その錯覚とは夢から現実への飛躍を伴う範疇の移行であり、その結果として自己自身を選び得れば、そこには幸福がある。
歩いて来たのである、それがもはや歩いては先へ進めない所へ立ちいたったのである。引き返したり停滞するのがいやなら飛躍するしかないのである。従来の理をもって理とすることのできない「逆説(パラドクス)」が理でなければならぬ場所へ来たのである。歩いて来た限りで通用した「歩く」法則がそこでは役に立たず、従ってそこまで自己を推進して来た法則にとっては絶望的なのである。法則の崩壊と混沌の出現とが飛躍の前提であり、これが「絶望」の概念的内容である。
(「訳者あとがき」より)
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目 次
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頁
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人格の陶冶における感性的なものと倫理的なものとの均衡
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5
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最後の書翰
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275
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神にたいして私たちはいつも正しくない、という考え方にある建徳的なもの
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280
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訳註
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301
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訳者あとがき
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313
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二〇〇九年版への訳者あとがき
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322
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飯島宗享 [いいじま むねたか]
1920年長崎県生まれ。
1942年東京帝国大学卒業。1987年没迄東洋大学教授。
主要著書に『逆説』『気分の哲学』『論考人間になること』『自己について』『実存主義辞典』(編著)『西洋十大哲学』(編著)『現代十大哲学』(編著)『哲学概論』(共編著)などがあり、訳書にキルケゴール『ドン・ジュアン論』『誘惑者の日記』『初恋』『美しき人生観』『結婚の美的権利』『現代の批判』『死に至る病』『不安の概念』『イロニーの概念』『哲学概念』(共訳)『講話・遺稿集』(編訳)、ヤスパース、ルカーチ、ラッセル、ハイネマン、ショーペンハウアー、カント、シェーラーなど多数がある。
浜田恂子 [はまだ じゅんこ]
1932年東京に生まれる。
東京大学文学部独文学科・倫理学科卒業。
同大学院博士課程(倫理学)単位取得満期退学。
フンボルト財団研究奨学生としてチュービンゲン大学哲学科留学。文学博士。
関東学院大学文学部教授を経て、現在、同人間環境学部教授。
著書に、『倫理学入門―倫理学についての対話―』『価値応答と愛―D.v.ヒルデブラントの倫理学』『キルケゴールの倫理思想―行為の問題―』“Japanische Philosophie nach 1868”『いのち―生命について考える―』(編著)『キルケゴール 主体性の真理』『歌舞伎随想 歌右衛門とキルケゴール』『二つの忠臣蔵―続歌舞伎随想』『死生論』『生きる環境の模索―苦悩する知―』『人間と倫理』(共著)などがあり、訳書にヤスパース『真理について3』シュルツ『変貌した世界の哲学』(共訳)キルケゴール『1844年の四つの講話』ハイデッガー『ヘルダーリンの詩作の解明』などがある。
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