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美しき人生観
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セーレン・オービュイ・キルケゴール 著 / 飯島宗享 訳 / 中里巧 校閲 / 菊地信義 装幀
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四六判上製280頁 2,500円(税別)
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ISBN4-89642-000-4 C1010
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人は、憎しみ、愛し、罪を犯す。そこにこそ、人であることが感じられる。美的生活を追い求める者には常に憂愁が覆うものだが、その憂愁とは、目先の欲望にばかり馬鹿正直で、思想は貧しく罪をさえ犯せないみすぼらしさをいう。その姿は佳麗華美であるが、魂は卑屈で厭らしく、情熱のかけらさえない。そんな退屈な生活を笑ってみよう。
全てが灰燼に帰した敗戦後の思想界を席巻したキルケゴールの実存思想は、あまりの隆盛故に廃れた。しかし、流行を越えて考えると、全ての価値と意味が崩壊した今、生そのものからの発想が希求されているように思われる。感性的なものと倫理的なものの間に揺れる人間存在という原点に還って考える。
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目 次
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頁
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序
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1
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ディアプサルマータ〔調律詩篇〕
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25
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あれか・これか……恍惚境の講演
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56
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ドン=ジュアン論
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65
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無用の前口上
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67
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第一段階〔夢みつつある欲望――ケルビン〕
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105
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第二段階〔探求しつつある欲望――パパゲーノ〕
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111
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第三段階〔欲望しつつある欲望――ドン=ジュアン〕
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119
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1 誘惑と規定される官能的天賦
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125
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2 モーツァルト以外のドン=ジュアン作品
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149
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3 歌劇『ドン=ジュアン』の内的音楽的構造
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167
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無用の切口上(後奏)
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195
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近代悲劇的なものにおける古代悲劇的なものの反照
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197
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訳註
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235
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訳者あとがき
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253
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校閲について
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273
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