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実存思想
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飯島宗享 著
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四六判上製240頁 2,500円(税別)
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ISBN978-4-89642-691-5 C0010
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合理が歪んだ形で非合理に繋がり、科学の成果が理性とかけ離れた心情に利用されるときの恐るべき非人間性。日々の経験のなかで決して〈わたし〉を手放さず、果たして人間とは何だろうかと考える、実存思想のエッセンス。キルケゴールに寄り添い考え続けた日本人哲学者の名著(『論考・人間になること』三一書房、1983)復刊。
愉快の直下に奈落があり、不幸がかえって幸いでもありうる類のことを思えば、
アイロニーとユーモアをたずさえて〈わたし〉の生に誠実に対峙するこの思想こそ、いま必要である。
本書がよき読者を得て、彼がソクラテス以来の「魂の気づかい」の伝統を、いま改めて新鮮な驚きとともに我がものとし、主体的に生きる自由を得るものと信じたい。(「編集人あとがき」より)
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目 次
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頁
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はじめに 主体性としての実存思想
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1
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調律のために
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13
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1 ソクラテス的愛知への顧慮
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13
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2 現代哲学の課題
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17
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I 実存と理性と気分 人間のあり方のしるしとしての気分
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33
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プロローグ
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34
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一 理性的把握の限界性
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37
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二 実存的かかわりにおける主体性
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40
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三 実存的かかわりにおける理性
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44
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四 契機としての理性
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46
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五 存在全体のしるしとしての気分
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49
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六 ネガティオンとしての気分
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51
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七 日常性の破れ
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55
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八 気分の訴えるもの
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60
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II 生と知の主体への問い
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65
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一 実存と現実性
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66
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二 対自関係と対他・対世界関係
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82
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三 不可知の全体と実存的気分
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94
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四 限界状況と実存的自由
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111
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間奏曲 ことばを使う奴*「ことば」とサルトル
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125
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III 自由な生のための覚え書
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129
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1 生成における人間とその思想
一 必然における生成と自由における生成 131/二 現在性の立場 137/三 自己同一性を実現する自由 142/四 客観的真理と主体的真理との出会い 148
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130
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2 単独者の主体的現実性
一 現存在から実存へ 153/二 単独者の現実性 167/三 終末論的視点の問題 181
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153
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附録1 哲学者と哲学研究者
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189
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附録2 実存の哲学的問題提起について
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206
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あとがき
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225
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編集人あとがき
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229
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飯島宗享 [いいじま むねたか]
1920年長崎県生まれ。1942年東京帝国大学卒業。1987年没迄東洋大学教授。主要著書に『逆説』『気分の哲学』『論考人間になること』『自己について』『実存主義辞典』(編著)『西洋十大哲学』(編著)『現代十大哲学』(編著)『哲学概論』(共編著)などがあり、訳書にキルケゴール『美しき人生観』『初恋』『誘惑者の日記』『結婚の美的権利』『美と倫理』『現代の批判』『死に至る病』『不安の概念』『イロニーの概念』『哲学概念』(共訳)『講話・遺稿集』(編訳)『単独者と憂愁』(編訳)、ヤスパース、ルカーチ、ラッセル、ハイネマン、ショーペンハウアー、カント、シェーラーなど多数がある。
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