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夢と戦争 「ゼロ年代詩」批判序説
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山下洪文 著
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四六判上製192頁 2,000円(税別)
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ISBN978-4-89642-511-6 C0095
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人間の本性あるいは
人間精神の原郷を
言葉によって明示する
これが詩本来の
姿であろう
共感を求めるなら
主体を堅持し
抒情の昂揚を待って
最適の言葉を
探さなければ
ならない――
21世紀にあらわれた一群の新しい詩人――彼らは「ゼロ年代詩人」と呼ばれた。その異貌の言葉は、人々に衝撃をあたえ、現在に至るまで増殖をつづけている。吉本隆明はそれを「塗りつぶされたような無」であると批判したが、深く顧みられることはなかった。いま、ゼロ年代詩人よりも年若い世代の著者が、彼らの営為を厳しく問いただし、その生を審判する。その射程は七〇年代詩から震災詩、さらには二〇一〇年代詩の先にあるものにまで及ぶ。「主体の骸には主体性のヒントが、抒情の骸には抒情性のヒントがあるはずだ」――著者はこの確信から、ゼロ年代詩という「死骸」を徹底的に解剖し、次代への希望を探す。烈しい言葉のなかに、詩への一途な思いが幽かに光を放つ。本書は現代詩への最後の審判であり、新たな詩の出発宣言である。
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目 次
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頁
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序
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1
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夢と戦争
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9
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1 異界の変容 内田百フ、島尾敏雄、浮海啓
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9
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2 夢、言葉、主体 詩は何処にあるか
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21
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3 夢の現在、主体の行方 あるいはゼロ年代詩批判
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28
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4 夢と戦争の彼岸 偏りの雨のなかに
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40
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虚無の懐胎 一九七〇年代詩批判序説
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49
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言葉の近親相姦 外山功雄、岸田将幸、小笠原鳥類論
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59
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1 タナトスの不在 誰も破壊されなかった
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59
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2 ダダとゼロ年代詩 誰も破壊しなかった
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73
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3 SF、ファシズム、ゼロ年代 しかし一切は破壊された
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82
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煉獄とドラえもん 中尾太一、白鳥央堂論
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89
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1 未知から無知へ
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89
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2 痴呆的抒情
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94
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3 郷愁の雪は降るか?
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106
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4 猿真似の詩学
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111
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〈始まりと終わり〉の終わり 蜂飼耳論
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115
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無の饗宴 和合亮一論
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133
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新たなる虚無へ 二〇一〇年代詩批判序説
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165
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あとがき
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185
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山下洪文 [やました こうぶん]
1988年、岩手県生まれ。2013年、詩集『僕が妊婦だったなら』(土曜美術社出版販売)刊行。現在、日本大学大学院芸術学研究科博士後期課程在籍。
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