未知谷の刊行物【国内文学】



 
記憶のアラベスク
渡辺淳 著
四六判上製160頁 1,600円(税別)
ISBN978-4-89642-475-1 C0095



生前交友のあったアラン・レネを悼み
その仕事を振り返るうち
甦る様々な映画人、演劇人との思い出
思い出される数々の追悼文
(バルト、ベケット、バロー、イオネスコ、デュラス、
ブレッソン、ベルイマン、アントニオーニ、プランション)
死のまわりで渦巻く記憶と歴史
死者を弔い、悼むとは、
そして記憶をチャンスとして
未来へ歩み出すために……
 
「問題は、死者のモニュメントを作ることではなくて、現在と未来とを考えることだった。忘却は建設、構築でなければならない」(レネ)
こうした動きを媒介しうるのは、ポジティヴで旺盛な《想像力》のひとつとしての《記憶力》である。つまり、想像力を十分に羽ばたかせてこそ記憶も通り一遍のものではなく、より力強い精神の働きとなるチャンスなのだ。
(「まえがき」より)


目  次

まえがき

第一部 《先へ戻る》
15 
 第一章 レネのモデル
16 
 第二章 歴史と記憶
22 
 第三章 戦争の記憶
31 
 第四章 死と記憶 生(=愛)を呼ぶもの
45 
  序説
45 
  一、死者を弔う
50 
  二、追悼文
51 
   ロラン・バルトを悼む
51 
   ベケットの遺産
55 
   バローを悼む
58 
   さようならイオネスコ
63 
   デュラスを偲ぶ
67 
   ブレッソンの遺産
72 
   ベルイマンとアントニオーニを悼む
76 
   ロジェ・プランションの遺産
79 
   アラン・レネを悼む
85 
  三、墓地と、死者に関するモニュメント
87 
   死者との対話
90 
  四、甦る死者
100 
   安部公房の方法
100 
   太宰戯曲が遺したもの
120 
   甦るジッド、またはジッドと《私》
126 
第二部 記憶と《装置》
143 
 第一章 人から装置へ 《装置》の進化
144 
 第二章 《ロボット》の功罪 モラルを問う
152 
あとがき
157 

渡辺淳 [わたなべ じゅん]
1922年三重県生まれ。東京大学文学部仏文学科卒業。東京都立大学・共立女子大学教授を経て現在東京都立大学名誉教授。評論家。主な著・訳書に『パリの世紀末』(中公新書)、『スペクタクルの60年代』(平凡社)、『カフェ』『パリ・一九二〇年代』『現代演劇のゆくえ』(以上、丸善ライブラリー)、『パリ・開幕 劇場・映画館探訪』『パリの橋 セーヌ河とその周辺』(以上、丸善ブックス)、『映画と文学の間』(清水書院)、『二十世紀のフランス知識人』(集英社新書)、『喜劇とは何か』『映画の原典を読む』『断絶と連続』『外へ、そして外から』(以上、未知谷)、ロラン・バルト『零度のエクリチュール』(みすず書房)、ジャン・デュヴィニョー『スペクタクルと社会』、エドガール・モラン『映画 あるいは想像上の人間』(以上、法政大学出版局)、アンドレ・マルロー『王道』(講談社文芸文庫)などがある。

小社刊の渡辺淳の著作物
[喜劇とは何か モリエールとチェーホフに因んで]
[映画の原典を読む 映画芸術《思想化》の歩み]
[断絶と連続 私説 《八月十五日》前後]
[外へ、そして外から 《滞欧体験》の意味するもの]
[知的生活 学徒出陣から60年安保、そして知の極北・現在まで]


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記憶のアラベスク
渡辺淳 著
1,600円(税別)

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