未知谷の刊行物【海外文学】
幻影の城館
マルセル・ブリヨン 著 / 村上光彦 訳・解説
四六判上製304頁 2,800円(税別)
ISBN4-89642-171-X C0097
18C初頭独逸辺境であろうか
霧の濃い黒い森の中に
優美な城館が佇む
旅人を誘うかのように
城の扉は半ば開いていた
亡霊が支配する城壁の内側は
生きる習慣を失った植物
永劫回帰の罠に捉われた時間
森の中の不安な孤独を超え
自分自身を再び見出す
イニシエーションの旅!
夢の中で口述筆記したという幻想小説
目 次
頁
第一部
9
第二部
123
第三部
201
訳者あとがき
287
マルセル・ブリヨン
[Marcel Brion]
(1895―1984)
アイルランド系の父と南仏に先祖を持つ母の間にマルセイユで生れ、ラテン的知性とゲルマン的感性の対話の中に育つ。その広範な知識から美術評論家、考古学者、伝記作家、歴史家、小説家と多様な場面で活躍し、1964年アカデミー・フランセーズに入会。『抽象芸術』(瀧口修造・東野芳明・大岡信訳)、『幻想芸術』(坂崎乙郎訳)、『死せる都市の復活』(辻佐保子訳)、『マキャヴェリ』(生田耕作・高塚洋太郎訳)等邦訳も多い。
村上光彦 [むらかみ みつひこ]
1929年、佐世保に生まれる。
1953年、東京大学文学部仏文学科卒業。
現在 成蹊大学名誉教授、大佛次郎研究会会長、鎌倉ペンクラブ副会長。
著書 『大佛次郎―その精神の冒険』(1977)、『鎌倉幻想行』(1986)(以上、朝日新聞社)、『鎌倉百八箇所』(1989、用美社)、『パリの誘惑』(1992、講談社)ほか。
訳書 『ド・ゴール大戦回顧録』(共訳、1960-1966、改訳復刊1999 本訳書により、1968年度ポール・クローデル賞受賞)、ヴィーゼル『夜』(1967)、モノー『偶然と必然』(共訳、1972)、レイン『好き? 好き? 大好き?』(1978)、ブローデル『日常性の構造』1・2(1985)『世界時間』1・2(1996-1999)(以上、みすず書房)、ヴィーゼル『そしてすべての川は海へ』(上・下1985)『しかし海は満ちることなく』(上・下、共訳1999)(以上、朝日新聞社)ほか。
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