未知谷の刊行物【国内文学】



 
大佛次郎セレクション 白い夜
大佛次郎 著 / 村上光彦 編・解説 / 竹久野生 装画
四六判上製布装272頁 2,500円(税別) *限定一千部
ISBN978-4-89642-199-6 C0393



純文学も大衆文学も境目なく、幕末、現代、西洋等、題材も自在に執筆された作品群から、特に陽の目を見ることの少なかった作品に焦点を絞る選集。全六冊、愛蔵版。
 
標題作は、混血青年が猥雑な横浜の裏街生活の中にも清浄無垢な心に憧れを抱く中篇。他に短篇「レスナー館」「愛情」「離合」を併載。
 
編者のことば
戦後、小説に限っても、各種の文学全集に大佛作品が収録されました。時代小説では『赤穂浪士』『鞍馬天狗』など、現代小説では『帰郷』など、枚挙のいとまがないほど繰り返し刊行されてきた作品もあります。
しかし、大佛作品は宝の山に似ています。遺珠が多いのはもとより、掘り残され、忘れられた鉱脈さえまだ残っているのです。そこで、これまで何度となく刊行された作品ではなく、おおかたの読者が顧みなかった作品を陽の目に当てて、大佛作品を体系的に理解する一助にしたいと思い立ちました。
たとえば、《新樹》という観念は、一筋の赤い糸のように最初期から最晩年まで追求されているのです。そうした問題を含め、大佛文学を全体として考察する仕事にかかってはどうでしょうか。この仕事は、ただ大佛次郎の人と作品という範囲を超えて、日本の近代文学を、さらに近代の日本そのものを考えるためにも必要なのです。そのためには、忘れられ、埋もれていた作品に近づく手立てを講じなくては、と思ったのです。(『白い夜』解説より)


目  次

白い夜

レスナー館
187 
愛情
217 
離合
237 
 解説
257 

大佛次郎 [おさらぎ じろう]
1897(M30)年横浜生れ。本名は野尻清彦。長兄は星の文学者・野尻抱影。1921(T10)年東京帝大卒業後、教師となるも翌年外務省に嘱託勤務。この頃ロマン・ロランの訳書を三冊出し、雑誌に寄稿し始める。1924(T13)年大佛次郎の筆名で鞍馬天狗を発表。専業作家生活に入る。同シリーズ47作の他、『赤穂浪士』『帰郷』『パリ燃ゆ』『ドレフュス事件』『天皇の世紀』など、1973(S48)年75歳で逝去される迄、誰もが認める眼差しの深さと豊かさに裏付けられた教養人として生き、多産な作家生活を送った。

小社刊の大佛次郎の著作物
大佛次郎セレクション第一期
[大佛次郎セレクション ]
[大佛次郎セレクション 白い姉]
[大佛次郎セレクション 灰燼・露草]
[大佛次郎セレクション 生きてゐる秀頼]
[大佛次郎セレクション 天狗騒動記]

大佛次郎セレクション第二期
[大佛次郎セレクション ふらんす人形]
[大佛次郎セレクション 明るい仲間・夜の真珠]
[大佛次郎セレクション 新樹・鴎]
[大佛次郎セレクション さかさまに]
[大佛次郎セレクション 鞍馬天狗余燼]
[大佛次郎セレクション 曠野の果]

大佛次郎セレクション第三期
[大佛次郎セレクション 霧笛]
[大佛次郎セレクション 花火の街]
[大佛次郎セレクション 幻燈]
[大佛次郎セレクション 激流 渋沢栄一の若き日]
[大佛次郎セレクション その人]
[大佛次郎セレクション 鞍馬天狗敗れず]

[南方ノート・戦後日記]
 
小社刊の村上光彦の著作物
[イニシエーションの旅 マルセル・ブリヨンの幻想小説]
 
小社刊の村上光彦関連の著作物
[幻影の城館]
[砂の都]
[旅の冒険 マルセル・ブリヨン短篇集]
[ルーズヴェルトとホプキンズ]


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大佛次郎セレクション 白い夜
大佛次郎 著/村上光彦 編・解説/竹久野生 装画
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