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ドウエル教授の首
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アレクサンドル・ロマノヴィチ・ベリャーエフ 著 / 田中隆 訳
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四六判上製256頁 2,500円(税別)
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ISBN978-4-89642-429-4 C0097
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ロシアSF界第一人者の代表作! 新訳!
現代医学の最尖端をも凌駕する医療分野でのSF的要素を漂わせつつ、同時にミステリー作品としても最良質のものと言える
慎重にコックを開く彼女の心臓の鼓動は高まり、手はぶるぶると震えていた。その途端、首の喉からしゅーっという音が聴こえてきた。弱々しく、鈍く押しつぶされたような、まるで故障した蓄音機が出すような、途切れ途切れで雑音の混じった声だった。「あぁ‐り‐が‐とう……」禁断のコックから、シリンダーの中で圧縮されていた空気が開放されたのだ。首の喉を通過する空気は声帯を震わせ、それで首はしゃべれるようになった……(本書19頁より)
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目 次
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頁
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初めての出会い
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7
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禁じられたコックの秘密
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13
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語り出した首
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20
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死かそれとも殺人か?
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27
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大都会の犠牲者
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38
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実験室の新人たち
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42
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首たちのひまつぶし
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50
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天と地
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55
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善と悪
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69
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死せるダイアナ
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85
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逃げ出した展示品
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105
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歌い終わった歌
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115
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謎の女
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122
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楽しいクルージング
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133
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パリへ!
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143
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ケルンの生贄
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149
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ラヴィノ医院
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162
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《狂人たち》
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168
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《厄介な事例》
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175
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新人
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187
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脱走
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193
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生と死の狭間で
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199
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ふたたび体なしで
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209
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トーマは二度目の死を迎える
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217
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共犯者たち
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225
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汚された勝利
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233
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最後の対面
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240
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アレクサンドル・ロマノヴィチ・ベリャーエフ [Александр Романович Беляев]
ロシアのヴェルヌとも呼ばれる、ロシアSF界の第一人者。1884年3月16日スモレンスク市の司祭の息子として生まれ、法科学校卒業後、弁護士、新聞編集長として働く。1916年、脊椎カリエスを発症し、首から下の自由をなくして療養生活を余儀なくされるが、22年に療養生活を終え、民警、幼稚園などを経て郵政省職員となる。療養生活の体験を生かし、25年、雑誌『世界探検』に処女作『ドウエル教授の首』を発表、翌26年、郵政省を退職して専業作家となる。約20の長篇と、40の短篇を発表したものの、社会主義リアリズム全盛の当時は「荒唐無稽である」「非科学的である」などの批評にさらされた。1942年1月6日、ドイツ軍占領下のプーシキン市で死去。
田中隆 [たなか たかし]
1964年、千葉県船橋市内の団地に生まれる。
典型的な鍵っ子として育つ。
県内の高等学校卒業後、ロシアへ留学。
ハバロフスク国立教育大学ロシア語コース卒。
訳書にハルムス『ズディグル アプルル』『シャルダムサーカス』『ヌイピルシテェート』(未知谷)がある。
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