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現代の英雄
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ミハイル・Ю・レールモントフ 著 / 北垣信行 訳 / 蜂飼耳 巻末随筆
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四六判上製320頁 2,800円(税別)
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ISBN978-4-89642-430-0 C0097
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夭折の詩人レールモントフ
唯一の完結した小説にして
ロシア文学史上、常に掲ぐべき傑作
雄大なコーカサスの自然を背景に
のちのドストエフスキーによって
より鮮明に展開される自己中心主義等、
人間の病的心理を初めて描き
ロシア的テロリズムの源流ともなった作品
『現代の英雄』は作者にとって、書き進めることで見えてくるものがある作品、あるいは、執筆の継続によって見えるかもしれないものの可能性を追い求めて書かれていった作品、ということなのだろう……。
この小説には、生きることにまつわる、逃れられない重さがずしりと詰まっている。別の言い方をするなら、幾重にも折りたたまれた複雑さ、つまりは生の屈折が、極まってある種の単純さへ行ってしまいそうな感じを、この小説はよく捉えていると思う。作者は目を逸らすことなく、放り出すこともしなかった。繰り返しになるけれど、それは、作者にとってあくまでも、書き進めることで見えてくる手応えがある作品だったからだろう。
(蜂飼耳氏による巻末随筆より)
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目 次
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頁
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第二版の序
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1
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第一部
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一 ベーラ
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10
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二 マクシム・マクシームイチ
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82
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ペチョーリンの日記
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序
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101
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一 タマーニ
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103
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第二部
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二 公爵令嬢メリー
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126
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三 運命論者
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273
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解説 北垣信行
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293
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生の屈折、その手応え 蜂飼耳
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305
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ミハイル・Ю・レールモントフ
[Михаил Юрьевич Лермонтов] (1814〜1841)
モスクワ生まれ。詩人、小説家。プーシキンの死に衝撃を受けて書いた『詩人の死』が多くの人に筆写されて流布し、詩人として認められた。その批判精神のため危険人物として早くから政府に監視され、政治的謀略による決闘で死去。行年27歳。チェーホフは「私はレールモントフに勝るどんな言葉も知らない」と語り、若い作家たちの模範として推薦した。
北垣信行 [きたがき のぶゆき] (1918〜1981)
茨城県出身。北海道大学助教授を経て、東京大学教養学部教授。レールモントフ、ゴーゴリのほか、トルストイ『戦争と平和』、ドストエフスキー『罪と罰』『白痴』『カラマーゾフの兄弟』などを翻訳。
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