未知谷の刊行物【芸術】
ダニ・カラヴァン
遠い時の声を聴く
酒井忠康 著
四六判上製240頁 2,400円(税別)
ISBN978-4-89642-375-4 C0071
カラヴァンのもっとも根本的なモティーフは「平和」である。彼はいつだって、その「平和」を脅かす力には、断固として抗議する姿勢を崩すことなく今日に及んでいる。……テル・アヴィヴから南に約八〇キロのところにべエル・シェバという町がある。そこは「創世記」以来の伝説の町だが、《ネゲヴ記念碑》は近くの丘につくられている。その巨大な全容を評して、ピエール・レスタニーは、砂漠のなかの「彫刻の村」のようだと形容したが、一種の「地霊」との対話を示す不思議な「場」ともなっていた。わたしには容赦ない砂漠のいとなみと、人間の意志との不断の闘いを示しているように思えた。砂漠を吹きぬける風を肌に感じ、その風が記念碑のなかで微かな音を立てているのを耳にした。
車のなかでカラヴァンが遠い時の声を聴くように、ヘブライ人の先祖アブラハムにまつわる話をしてくれたのを思い出す。(「まえがき」より)
目 次
頁
まえがき
1
消えた墓標 ベンヤミン追悼の記念碑
13
オリーブの葉
23
遠い時の声
1 カラヴァンと日本 35
2 ベルリン日記 51
3 ヤコブの梯子 61
4 長崎日記 69
35
ダニ・カラヴァンに関する「備忘録」
79
ダニ・カラヴァンを紹介された日
107
ダニ・カラヴァンと共に
1 記憶の装置 112
2 奇跡の芸術家 117
3 時の川 119
4 太陽の道 122
112
生きた彫刻公園
129
彫刻の理想郷 歳月とともに育むもの
138
作家と語る
146
ハヴァ・カラヴァンによるインタビュー
165
赤い橋
180
残照 ダニ・カラヴァン回顧展
186
砂のドローイング
199
平和への道
207
あとがきにかえて
213
初出一覧
224
略年譜
234/i
酒井忠康 [さかい ただやす]
1941年北海道生まれ。慶應大学文学部卒。1964年神奈川県立近代美術館に勤務。同美術館館長を経て、現在、世田谷美術館館長。1986、88年ヴェネツィア・ビエンナーレ日本館コミッショナー、89、91年サンパウロ・ビエンナーレ日本展示キュレーターなどをつとめる。幕末明治期の美術をテーマとした『海の鎖』『開化の浮世絵師清親』で注目され、その後、美術評論家としても活躍。著書に『野の扉』『影の町』『時の橋』『遠い太鼓』(以上小沢書店)、『若林奮 犬になった彫刻家』『鞄に入れた本の話』(以上みすず書房)、「現代彫刻の世界」のサブタイトルをもつ『彫刻の庭』『魂の樹』『森の掟』『彫刻の絆』(以上小沢書店)、『
彫刻家への手紙
』『
彫刻家との対話
』(以上未知谷)、『早世の天才画家』(中公新書)、また郷里の少年期を描いた童話集『
海にかえる魚
』(未知谷)などがある。
小社刊の
酒井忠康
の著作物
[
海にかえる魚
]
[
彫刻家への手紙
現代彫刻の世界
]
[
彫刻家との対話
現代彫刻の世界
]
[
ある日の画家
それぞれの時
]
[
ある日の彫刻家
それぞれの時
]
[
風雪という名の鑿
砂澤ビッキ
]
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ダニ・カラヴァン
遠い時の声を聴く
酒井忠康 著
2,400円(税別)
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