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チャイナウオッチ 矢吹晋著作選集 第五巻 電脳社会主義
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矢吹晋 著
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四六判並製函入328頁+別冊インタビュー16頁付 2,700円(税別)
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ISBN978-4-89642-675-5 C0322
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2022年9月29日
日中国交正常化50周年記念出版
習近平とは何者か?
彼が夢見る世界とは?
社会主義をどう進化させる?
特別別冊附録入り:矢吹晋著作選集完結記念インタビュー16頁 「見誤るな 直視せよ 中国の真実」
発刊の辞 著者:矢吹晋
新年号を令和と定めた政府は『万葉集』の「梅花の歌」序が典拠だと説明した。即座に『文選』と野次が飛んだ。『紫式部日記』を読むと、一条天皇后彰子に漢籍の個人教授を務めた事実が記録されている。『源氏物語』は「長恨歌」などを換骨奪胎したもので、漢籍という骨格を抜くと、日本が世界に誇るこの物語は成立しない。ここに和魂漢才を駆使した先人たちの努力の成果を読み取れる。隣の大国と一衣帯水の島国日本が二〇〇〇年にわたって独立を堅持しえた秘密はこの巧みな和魂漢才術に隠されていよう。天安門事件当時、日本政府は欧米諸国の対中制裁論を排して、日中関係の発展拡大のために知恵を絞った。日本にとって、隣国の政治・経済的安定こそが国益なのだ、と説いて経済協力を継続した。これは中国経済が市場経済へ飛躍する大きな踏み台となった。今年は不幸な日中戦争に終止符を打って国交を回復して五十年となるが、両国関係は冷え冷えしたものに一変している。一部の中国崩壊論者の願いにもかかわらず、中国はますます豊かになり国防力も増大している。ここに崩壊論に代わって脅威論が登場し、今や空前の賑わいぶりだ。私は田中角栄訪中の前後からチャイナウオッチを自らの仕事としてきたが、〈変わる中国・変わらざる中国〉を複眼で観察し直すために、旧稿を再読してみた。中国という巨龍は、観察者の思惑を遥かに超え宇宙まで飛翔する。そのとき、日本は糸の切れた凧の運命を避けるために何を選ぶべきであろうか?
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目 次
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頁
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習近平の「プチ毛沢東」化――集団指導制から個人独裁制への鮮やかな転換
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7
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習近平の夢
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21
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一 習近平シルクロードの夢 22
二 「党の核心」に大化けした習近平 75
三 当面の展望 121
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習近平二期体制の展望
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135
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中国の夢――電脳社会主義の可能性
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149
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一 現実化する電脳社会主義――ビッグデータとデジタル・リヴァイアサン 150
二 電脳社会主義の必然性――テクノファシズムをどう防ぐか 170
三 習近平思想――電脳社会主義の舵手 218
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習近平「一強体制」を構築した中国のゆくえ
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249
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歴史決議の舞台裏を読む――電脳社会主義の青写真 250
日中関係を破壊し日本を滅ぼす新・暴支膺懲国会決議 266
アジア蔑視論と和魂漢才――日本文化の二つの潮流 282
中共二〇回大会の政治局人事と習近平思想 298
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著作選集あとがき
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309
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編者あとがき
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311
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矢吹晋著作一覧
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317
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矢吹晋 [やぶき すすむ]
1938年福島県郡山市生まれ。県立安積高校在席時に朝河貫一を知る。1958年東京大学教養学部に入学し、第二外国語として中国語を学ぶ。1962年東京大学経済学部卒業。東洋経済新報社記者となり、石橋湛山の謦咳に接する。1967年アジア経済研究所研究員、1971〜1973年シンガポール南洋大学客員研究員、香港大学客員研究員。1976年横浜市立大学助教授・教授を経て、2004年横浜市立大学名誉教授。現在、21世紀中国総研ディレクター、公益財団法人東洋文庫研究員、朝河貫一博士顕彰協会会長。
著書は単著だけでも40書を超え、共著・編著を合わせると70書をゆうに超える。ここでは本シリーズ「チャイナウオッチ」からははずれる朝河貫一の英文著作を編訳した『ポーツマスから消された男――朝河貫一の日露戦争論』(東信堂、2002年)、『入来文書』(柏書房、2005年)、『大化改新』(同上、2006年)、『朝河貫一比較封建制論集』(同上、2007年)、『中世日本の土地と社会』(同上、2015年)、『明治小史』(『横浜市立大学論叢』、2019年)の6書、朝河を主題とする『朝河貫一とその時代』(花伝社、2007年)、『日本の発見――朝河貫一と歴史学』(同上、2008年)、『天皇制と日本史――朝河貫一から学ぶ』(集広舎、2021年)の3書を挙げておきたい。
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