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小さな美徳
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ナタリーア・ギンツブルグ 著 / 望月紀子 訳
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四六判上製176頁 2,000円(税別)
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ISBN978-4-89642-533-8 C0098
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第二次大戦末期から終戦直後――反ファシズムの指導者だった夫の流刑に付き添って暮らした南イタリアの日々、パヴェーゼとの友情、独自の教育論、歯切れよく語られ思わず笑みを浮かべるイギリス観察など、初期エッセイ11篇。
すでに刊行されている『わたしたちのすべての昨日』『夜の声』『町へゆく道』にこのエッセイ集が加わることによって、彼女の初期作品の集大成となったという感慨をおぼえる。
……
ここで初期作品という言い方をするのは、代表作の『レッシコ・ファミリアーレ』(邦題『ある家族の会話』)以前の作品ということで、私がそれらの長・中・短篇小説に心を惹かれ……今回訳出したエッセイ集で、フィクションではなく、事実として客観的に(とはいえ、彼女流の客観性で)考察されている第二次世界大戦末期から終戦直後の若者たちの絶望と不安、喪失感、旧世代への批判、そして徐々に、自分たちの微弱だが新しい時代へ向かおうとする意志の模索が描かれているからである。(「解説」より)
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目 次
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頁
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序
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4
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第一部
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アブルッツォの冬
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11
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破れ靴
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19
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ある友人の肖像
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24
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イギリス讃歌とイギリス哀歌
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36
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メゾン・ヴォルペ
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48
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彼と私
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57
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第二部
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人間の子
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77
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私の仕事
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83
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沈黙
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106
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人間関係
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113
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小さな美徳
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143
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解説
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163
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ナタリーア・ギンツブルグ [Natalia Ginzburg]
イタリアの小説家、劇作家。1916年、パレルモ生まれ。38年、レオーネ・ギンツブルグと結婚。40年、アブルッツォ州のピッツォリに流刑となった夫に従う。ここで第三子誕生。42年、第一作『町へゆく道』。44年、夫獄死。エイナウディ出版社入社。50年、英文学者ガブリエーレ・バルディーニと結婚。52年、『わたしたちのすべての昨日』。63年、自伝小説『ある家族の会話』でストレーガ賞受賞。83年、独立左派の下院議員に選出。91年、ローマの自宅で死去。
望月紀子 [もちづき のりこ]
主な著書:『こうすれば話せる イタリア語』(朝日出版社)、『ダーチャと日本の強制収容所』(未来社)、『イタリア女性文学史』(五柳書院)。訳書:オリアーナ・ファラーチ『ひとりの男』(講談社)、ダーチャ・マライーニ『メアリー・ステュアート』(劇書房)、『シチーリアの雅歌』『帰郷シチーリアへ』『イゾリーナ』『別れてきた恋人への手紙』(晶文社)、『ひつじのドリー』(未来社)、ナタリーア・ギンツブルグ『わたしたちのすべての昨日』『夜の声』『町へゆく道』(未知谷)ほか。
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