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キラ キラリナ
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パナイト・イストラティ 著 / 田中良知 訳
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四六判上製256頁 2,200円(税別)
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ISBN978-4-89642-287-0 C0097
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“バルカンのゴーリキー”とロマン・ロランに賞讃された
天性のオリエントのストーリーテラー“聞き書き”篇代表作
一九二一年、私の下に舞い込んだ一通の手紙の、天才の閃きのようなものに私は衝撃を受けた。平原に吹きすさぶ熱風であった。私は彼の人となりを知りたくなった。文通が始まり、二人は友だちになった。(中略)各章は、短篇そのものといってもいいくらいだ。小説に収められている三つか四つかの短篇は、ロシアの文豪たちの技倆に優るとも劣らない。ただ違う点は、気質、明るさ、当意即妙、泣き笑いという点だ。この物語作者の喜びによって、抑圧された魂から重しを取り除いてくれるという点においても。……
(「ロマン・ロランによる序」より)
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目 次
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頁
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ロマン・ロランによる序
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1
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作者による序
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5
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I スタヴロ
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13
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II キラ キラリナ
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75
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III ドラゴミール
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137
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あとがきに代えて
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237
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パナイト・イストラティ [Panait Istrati] (1884―1935)
ルーマニアはドナウ川下流の港町ブライラの生まれ。貧窮家庭に育ち12歳で母の下を去る。二十歳の時、ロシアの革命運動の影響を受けて、社会主義運動と接触。その後近東を中心に地中海沿岸を放浪。自殺未遂事件をきっかけにフランスの作家ロマン・ロランの知遇を得て、下層階級の人々を題材に、郷土色豊かな作品をフランス語で発表し、作家となる。「バルカンのゴーリキー」とはロマン・ロランの評。代表作には、本書『キラ キラリナ』(1923)、『アンゲル叔父』(1924)、『コディン』(1926)などのほか、史実に取材した『バラカン平原のアザミ』(1928)などがある。
田中良知 [たなか よしとも]
1947年生まれ。東京都立大学人文学部仏文科卒、同大学院修士課程修了。専攻は十九・二十世紀フランス文学。
訳書に、ドニ・ヴェラス『セヴァランブ物語』(共訳、『啓蒙のユートピアI』所収、96/法政大学出版)、アルベール・コスリー『老教授ゴハルの犯罪』(08/水声社)がある。大家・流行作家が主流の翻訳界に、日本では知られざる〈傑作〉を紹介したいと、念じる。
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