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マルテ・ラウリス・ブリッゲの手記
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ライナー・マリーア・リルケ 著 / 塚越敏 訳
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四六判368頁 3,400円(税別)
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ISBN4-89642-075-6 C0098
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リルケは『ロダン論』を書くべくパリを訪れ、大都会にうちのめされる。 「人生と呼ばれる全てに対し、恐怖に捉えられています。私はパリで、人々のなかで、どんなに孤独でひとりぼっちでいることか。私は行き交う全てのものに否定されています」(ルー・ザロメ宛リルケ書簡)
デンマークからパリにやって来た青年貴族マルテ・ラウリス・ブリッゲに、灰色の街パリは重くのしかかる。混乱する事物、己れの無力への絶望、孤独、生の不安、焦燥、死の影。
ブリッゲは、単に〈見る〉ことから、注意深く〈視る〉ことを探る。生の可能性を求め、都市、空間、時間、過去、回想、故郷、幼年期、想像力、神、崇高、美、愛……様々な事象への考察を重ねる。
現代の孤独な魂の遍歴を記して、精緻な詩的散文の至宝と評される本書は、いま71の洞察に解析され、最新のリルケ/ブリッゲ研究を踏まえた新訳と相俟って、現代の孤独と共振する。
詳細な註解を付し、71の洞察の意味を問い直されて、〈現代の不安の書〉とされた手記は、洞察ののち、マルテ L. ブリッゲが辿り着いた〈存在の場〉を開示する。いま甦る〈青春の書〉。
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目 次
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頁
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マルテ・ラウリス・ブリッゲの手記
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5
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遺稿(1904年/1909年)より
導入部の草案(1904年) 311
第一草案 311/第二草案 313
トルストイに関する草稿(1909年) 318
第一草稿〈トルストイ〉 318/第二草稿〈トルストイ〉 324
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309
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解説
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333
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あとがき
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365
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ライナー・マリーア・リルケ
[Rainer Maria Rilke](1875―1926)
プラハ生まれ。ロダン/セザンヌ体験を通じて現代人の愛と孤独を追求し人間存在の究極を捉えた20世紀最大の詩人。『オルフォイスへのソネット』『マルテの手記』『ドゥイノの悲歌』他。
塚越敏 [つかごし さとし]
ドイツ文学。慶應義塾大学名誉教授・日本翻訳家協会理事。
著書『リルケの文学世界』(理想社)
監修『リルケ全集』十巻(河出書房新社)
著書『リルケとヴァレリー』(青土社。芸術選奨文部大臣賞受賞)
訳書『ニーチェ書簡集』二巻(筑摩書房)
訳書『リルケ美術書簡』(みすず書房)
著書『創造の瞬間』(みすず書房)
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