未知谷の刊行物【国内文学】



 
月をみるケンタウルス 紳士の心得帳
法橋和彦 著
四六判上製232頁 2,000円(税別)
ISBN978-4-89642-667-0 C0095



馬の挙動、騎手の振る舞い、血統や体重の増減、馬場の状態……
あらゆるデータを蒐集して予想するレースの展開と出走馬の着順!
その光の奥に数字と札束しか見ないようでは紳士の遊びとは言えまい。
 
傍らに馬券、視線の先でゴールを駆け抜ける馬と騎手、そのとき心に浮かぶのは
長い人類の営み、個々の人間各々の業、喜び、美、文学に昇華された形而上学……
 
正統派ロシア文学者だからこそのディープなロシア文学への言及、
日本、中国、フランス、エト・セトラ、走る馬を見ながら専門を越え、
凡そ琴線に触れるあらゆる文学を想起する、前代未聞の競馬エッセイ――
77年〜79年日刊スポーツ連載


目  次

「京都記念」を観戦してトルストイのトバク心得を思う

高橋成忠最後の騎乗を見て、幻の名馬「ホルストメール」を思う
11 
サンケイ大阪杯をみて『アンナ・カレーニナ』の競馬を思う
15 
鳴尾記念をみて『スペードの女王』の賭けを思う
19 
「桜花賞」を見終えて中央競馬会をしかる
23 
『さつき賞』を予想して、ドストエーフスキイの『賭博者』を思う
27 
チエホフの『賭け』、「NHK杯」を見て思う
31 
ペチョーリンの賭け、オークスに敗れた馬に思う
34 
宝塚記念をみて、茂吉の『童馬漫語』を思う
37 
中京競馬をみて「連環万馬の計」を思う
40 
夏の中京万馬券を論じてマラルメの詩おもう
43 
小倉戦牝馬の好走見て火野葦平の『花と龍』を思う
46 
ブロンディン死の綱渡りに、馬と騎手の連帯を思う
49 
戦争で死んだ馬五十万頭、盛夏の「小倉」に思う
52 
小倉記念に無法松の「勇み駒」をきく
55 
阪神障害ステークスに、初秋の歌を聞く
58 
鱒二の「仲秋名月」を、長月特別に思う
61 
万馬券を逸して「ムツゴロウの大勝負」を思う
64 
4レース連続のコース・レコードに、ヴェルレエヌの「秋の歌」を思う
67 
松若騎手を悼みおくる高村光太郎の「秋の祈」
70 
菊花賞を見て漂泊の俳諧師一茶を思う
73 
エリザベス女王杯に思う、ヴァレリイの「海の墓標」
75 
セントウルステークスに三好達治の歌をきく
78 
「有馬記念」をみて釋迢空の歌をおもう
81 
一休宗純の魔界
85 
テンポイントの悲運を恨む
88 
ミカローズの好走にエセーニンの詩を思う
91 
淀の「忘れ水」
94 
ジェリコーの馬ととべ
97 
桜花賞トライアルの酒
100 
物狂わす桜の花の下
103 
「さつき賞」を見る
106 
郷原騎手の無念にパドックのドガを思う
109 
叱られ叱りとばして……
112 
ダービーに萩原葉子の『蕁草の家』を思う
115 
語らざれば愁なきに似たり
118 
宝塚記念の雪辱をはたす
121 
悶といふ字
124 
魔の三年目の悪相(紳士の心得帳1)
127 
三十にして立たず、四十にして惑う(紳士の心得帳2)
130 
漱石と馬券のはなし(紳士の心得帳3)
133 
勝負のひけどき(紳士の心得帳4)
136 
白地図の効用(紳士の心得帳5)
139 
鴎外の賭博論(紳士心得帳6)
142 
女性の同伴つつしむべし(紳士心得帳7)
145 
「三十六計逃げ馬」考(紳士心得帳8)
148 
グシケンに希望
151 
博奕の精神(紳士心得帳9)
153 
「花が石にも咲きはせじ」(紳士心得帳10)
156 
つるぎは折れぬ馬もたふれぬ(紳士心得帳11)
159 
イカロスと魔法の馬(紳士心得帳12)
162 
羊どしに泣く
165 
入試問題と馬の予想
168 
花の下にて春死なん
172 
春なれや二月となれば
175 
上悍こそ大将の乗るべき馬
178 
「散ればこそ……」
181 
ぬれて匂ひし花や散るらん
184 
馬を見に行く
187 
天皇賞と「落馬結い」
190 
「五月は黒鹿毛をねらえ」
193 
黒鹿毛おおいに笑う
196 
「牝馬おおいに走る」
199 
木槿は馬にくはれけり
202 
我を絵にみる夏野かな
205 
万のことは頼むべからず
208 
「馬よ花野に眠るべし」
211 
「コガネムシは金モチだ」
214 
「数字と連想」
217 
続「数字と連想」
220 
解説 岩浅武久
223 

法橋和彦 [ほっきょう かずひこ]
1932年神戸に生まれる。大阪外国語大学から早稲田大学大学院博士課程へ。現大阪外国語大学名誉教授。編著に『トルストイ研究』(河出書房新社)、『プーシキン再読』(創元社)、著書に『ロシア文学の眺め』(新読書社)、『暁の網にて天を掬ひし者よ 小熊秀雄の詩の世界』『古典として読む『イワンの馬鹿』』(以上未知谷)他多数。

小社刊の法橋和彦の著作物
[(あかつき)の網(あみ)にて天を掬(すく)ひし者よ 小熊秀雄の詩の世界]
[古典として読む『イワンの馬鹿』]
[さらば レフ・トルストイ]


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月をみるケンタウルス 紳士の心得帳
法橋和彦 著
2,000円(税別)

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