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「トゥーレの王」とローレライ
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エルンスト・ボイトラー 著 / 山下剛 訳・解説
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四六判上製176頁 2,000円(税別)
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ISBN978-4-89642-240-5 C0098
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ラインのほとりのバッハラハに
一人の魔女が住んでいる。
それは世にも美しく
虜になる者数知れず。
(ブレンターノ「ローレライ」より)
“ライン川を見下ろす断崖に坐る美しい乙女”
ドイツ人なら知らぬ者のないローレライ神話。
それはゲーテからはじまる詩人たちの創作だった――
『ファウスト』に収められた詩「トゥーレの王」。
ゲーテ青春のライン下りで生まれた物語詩は、
ロマン派の詩人ブレンターノの詩的想像力を刺激し、
自らも恋人の不実に深く傷つき、
近づく男たちを次々と破滅に導く魔力を持つに至った、
世にも美しいローレライが“発明”される。
ローレライのイメージはハイネに受け継がれ、
民謡となってドイツ国内はもちろん、世界中に広まってゆく。
ゲーテ研究の大家がローレライの生成を辿り、
「愛」と「死」をめぐる人類の想像力の祖型を探ったエッセイ。
ローレライについて概略を知るに嬉しい詳細解説50頁添。
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目 次
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頁
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「トゥーレの王」とローレライ
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5
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解説
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119
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エルンスト・ボイトラー [Ernst Beutler] (1885―1960)
ドイツを代表する文学史家、ゲーテ研究者。テュービンゲン大学とライプツィヒ大学に学び、ハンブルク大学で学位を得た。ハンブルクの図書館評議員(顧問官)。1925年からはフランクフルト・アム・マインの「ダス・フライエ・ドイチェ・ホーホシュティフト」の理事長と「ゲーテ博物館」の館長を兼ね、長年にわたって「ダス・フライエ・ドイチェ・ホーホシュティフト年鑑」や「ゲーテ・カレンダー」の責任編集を務めた。『アルテミス記念版ゲーテ全集』(全24巻 補巻3巻、1948-71)の責任編集者。本エッセイが収められている『ゲーテをめぐるエッセイ集』(1941)はドイツ文学の古典であり、ボイトラーの代表作。
山下剛 [やました たけし]
1957年、仙台市生まれ。東北大学大学院文学研究科博士前期課程(独文学専攻)修了。東北薬科大学准教授。専門はドイツ語圏の近現代文学、東西文化交流史、比較文化論。主な論文に、「クレーメンス・ブレンターノと『少年の魔法の宝角』」(日本独文学会編『ドイツ文学』86号)、「近現代中国とドイツ文学受容――アヘン戦争から中華人民共和国成立まで」(東北薬科大学『一般教育関係論集』11号)、主な翻訳に、李蘭琴著『湯若望伝――ドイツ人イエズス会宣教師アーダム・シャル・フォン・ベルの生涯(1592-1666)』(東北薬科大学『一般教育関係論集』14、15号)、ペーター・ビクセル著『テーブルはテーブル』(未知谷、2003)、『もう一人のメンデルスゾーン――ファニー・メンデルスゾーン=ヘンゼルの生涯』(未知谷、2006)などがある。
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