|
|
|
|
昭和の短篇一人一冊集成 色川武大
|
色川武大 著 / 結城信孝 編・解説 / 市瀬淑子 装幀・題字
|
四六判上製函入320頁 3,000円(税別)
|
ISBN978-4-89642-226-9 C0393
|
|
|
残しておきたい短篇がある……
今思うと昭和には香りがあった――
短篇の名手各一冊、全五巻、函入愛蔵版
『昭和の短篇一人一冊集成』完結!
「記憶に残る短篇小説は、クラシック音楽やジャズのスタンダード・ナンバーを想起させる。名篇と名曲。両者に共通しているのは短い時間のなかでリプレイが可能という利点と、何よりも長い歳月をくぐり抜けてきた耐久力にある。書棚から引っぱり出す一冊の作品集。お目当てのページを開く瞬間には心が躍る。この短篇セレクションは小説雑誌華やかなりしころの昭和の文化遺産であり、短篇小説の魔力を思う存分味わわせてくれる」(編者の言葉)
純文学は色川武大、エンタテインメントは阿佐田哲也
二つの顔で作品を描きわけた希代のアウトロー作家
戦後間もなくの麻雀打ち、かつぎ屋などの体験は作品世界を支え
マージナルな人々に優しく、独特のバランス感覚で内面をとらえる――
福ちんの力か、ウェイトレスが歌手に大農園主夫人に「ふくちんれでい」
上野の娼婦アッケラとの腐れ縁、〈おんな小説〉の好短篇「花のさかりは地下道で」
人気弁士生駒雷遊の絶倫をユーモアたっぷりに古き良き芸人たちの時代「二枚目病」
天才棋士芹沢博文の内なる苦悩に踏み込んだモデル小説「男の花道」
芸能プロの運転手になった、どこかちぐはぐな男「オールドボーイ」など
今では読むことのできない短篇を10作品収録
|
|
|
目 次
|
頁
|
ふくちんれでい
|
5
|
善人ハム
|
35
|
花のさかりは地下道で
|
57
|
二枚目病
|
89
|
へぼくれ
|
115
|
一念放棄
|
155
|
おっちょこちょい
|
193
|
赤い靴
|
215
|
男の花道
|
237
|
オールドボーイ
|
265
|
解説
|
295
|
色川武大 [いろかわ たけひろ] (1929―1989)
東京生まれ。東京市立第三中学中退。戦後、かつぎ屋、麻雀打ちなどアウトロー生活に入る。以後、雑誌編集者などをへて文学活動を開始。この頃既にナルコレプシー(眠り病)の兆候があった。1961年「黒い布」で第6回中央公論新人賞受賞。69年阿佐田哲也の筆名で『麻雀放浪記』の連載。純文学は色川武大、エンタテインメントは阿佐田哲也で書きわけ、ドロップアウトぎりぎりの人々を独特のバランス感覚で描き内面に迫った。77年『怪しい来客簿』で第5回泉鏡花文学賞、78年「離婚」で第79回直木賞、81年「百」で第9回川端康成文学賞、89年『狂人日記』で第40回読売文学賞受賞。89年心臓発作で倒れる、享年60歳。
|
|