未知谷の刊行物【海外文学】



 
涙を売られた少女
ジェイムス・クリュス 著 / 森川弘子 訳・解説
四六判上製400頁 2,800円(税別)
ISBN4-89642-176-0 C0097



まだ子供の心を持っているすべての人々と
もう一度子供の心を取り戻したいと思っているすべての人々のために

 
第二次大戦終戦後十年余のある日のこと。語り手のボーイはハンブルクに向かう船上で、奇妙な男に「ネレの物語」を書かないようにと忠告される。だが遠縁のネレはランゲ・ライエ通りに住むごく平凡な十一歳の少女。幼いころ両親が離婚し今は母方のソーニャ叔母さんの居酒屋が家庭代わりで、教員の父親と二人暮らし。久しぶりにその居酒屋を訪れたボーイは「彼女は私と同じで泣くことができない。時代に合っているんだ」と電話で話す黒ずくめの痩せた紳士を目撃する。同じ日ネレの天才的な歌声と踊りに驚嘆した音楽プロデューサーがネレの父親と契約を交わすと、ネレは世界的な大スターへの道を歩み始める。有名になるにつれて、ネレの心は不安定になりしばしば爆発する。『笑いを売った少年』を執筆中のボーイは黒ずくめの紳士が気になりネレが心配でたまらない。ティム・ターラーは良い知恵を授けてくれるのか。ネレの涙を売ったのは誰? 痩せた紳士の目的は? 何より、ネレは笑ったり泣いたり出来るようになるのだろうか?
本邦初訳、名作『笑いを売った少年』の姉妹作!


目  次

プロローグ

一日目の話
 
1 説明されなかった「雄猫の朝ご飯」
ソーニャの居酒屋/歌うネレ/マックス・マイゼ
11 
2 人形とリハーサル
ランゲ・ライエ通りで/人形の家と人形の歌/泣くことのできない少女
25 
3 初舞台
準備/早すぎる賞讃/マイゼがマイゼを持っていなかったら……
37 
二日目の話
 
4 たくさんの人々のための歌
ピアノを使ったオペラ/一つの歌が生まれた/ミヒェル爺さんの歌は大ヒット/子どもがスターになった
55 
5 全ての人々のための歌
マックス・マイゼ/ユイストにて/ヴァレンティナ
71 
6 成功
ドイツ国内で有名になる/螺旋階段の恐怖/テアお婆ちゃんの家で/わが友ティム・ターラー
89 
三日目の話
 
7 堤防の家と……
意外な電話/一つの事故と沢山の疑問/契約書/数の魔法/有名でとても孤独
112 
8 ローマへの旅
カーニヴァルでかくれんぼ/電話ばかりの一日/列車の中で/偶然にも上手く準備されたコンサート
134 
9 ローマは大騒ぎ
テヴェレ川の上で/サンピエトロ大聖堂/スペイン階段で/フォロ・ロマーノのコンサート/悲しい誕生日
134 
四日目の話
 
10 雄猫の嘆き
シュプリンゲルトヴィーテ通りのベーンケ氏/オーゼお婆さん/定休日/眠るネレ
171 
11 雄猫の朝ご飯をめぐる悪魔のダンス
191 
12 雌猫のひとっ飛び
フレディー/旅の途上で/船上の会話
201 
五日目の話
 
13 スペインの空気
ティンパニー/砂漠にて/独裁国をめぐるツアー/セビリヤからアンドラへ
218 
14 ベネズエラへの船旅
伯爵夫人の及ぼした影響/さらばヨーロッパ/新しい人々/新しい歌
238 
15 太古の森とアスファルトジャングル
オリノコ川の岸辺で/ジャングルにて/ニューヨークに向かって/一つの都市を征服したこと/ボビー・レインボーのクリスマスプレゼント
256 
六日目の話
 
16 世界的な大成功
困難を抱えたツアー/大洋上の会話/グリニッチヴィレッジにて/スタジオでの会話
278 
17 全ての人々のためのショー
ブロードウェイ/不安/ひとつの賭けが終わった/涙のない別れ
294 
18 たくさんの人々のためのショー
一人のスター、一人の子ども/一つの歌、一つのヒット/ショーとビジネス/たくさんの衣装とグランドピアノ
316 
七日目のお話
 
19 最後の歌
もしもネレに喉がなければ……/苦い月桂樹/あとで現れた影響
331 
20 オーディションと人形
話すことが出来なかった少女/人形劇/悪魔の石段の上で
351 
21 ようやく説明された『雄猫の朝ご飯』
実験/ネレが泣いた/チュース、ソーニャ
370 
エピローグ
386 
訳者あとがき
389 

ジェイムス・クリュス [] (1926―1997)
第二次世界大戦の敗戦国ドイツの荒廃した大地を前に、クリュスは若者たちを戦場に駆り立てる不幸を繰り返してはならないと痛感した。そのためには、子どもたちに自分の頭で考えることを教え、寛容と共生の精神を育む必要があると判断し、児童文学の世界に跳び込んだ。
1950年ケストナーに才能を見出され『動物会議』のラジオドラマ化に成功。ラジオ、テレビ等で活躍する一方、56年にデビュー作である『ロブスター岩礁の燈台』を発表、ドイツ児童文学賞推薦書に指定され世代を越えて支持を受ける。以後毎年新作を発表し続け、60年ドイツ児童文学賞、62年国際アンデルセン優良賞、64年ドイツ児童文学絵本賞、68年にそれ以前の全作品に対して国際アンデルセン大賞が与えられた。現在ドイツではE. ケストナー、M. エンデと共に3大児童文学作家と遇され、「おはなし丸の船長」と呼ばれて人々に親しまれている。
 
森川弘子 [もりかわ ひろこ]
徳島県生まれ。広島大学卒業後、1974年東洋工業入社、85年迄独語の翻訳に従事。81〜82年ミュンヘン大学に留学、神話学などを学ぶ。90年より人形劇ペポのメンバー。宮沢賢治学会イーハトーブセンター会員。訳書にJ. クリュス『笑いを売った少年』『ロブスター岩礁の燈台』、B. プルードラ『ズンデヴィト岬へ』『ちびポップの決断』がある。

小社刊のジェイムス・クリュスの著作物
[笑いを売った少年]
[ロブスター岩礁の燈台]


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著  者
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冊数
涙を売られた少女
ジェイムス・クリュス 著
2,800円(税別)

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