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サミュエル・ベケットのヴィジョンと運動
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近藤耕人 編著
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四六判320頁 2,500円(税別)
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ISBN4-89642-123-X C0098
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2006年はベケット生誕100年、100年祭には様々な行事が予定されている、その魁となる一書
当然のことだが、人は理解し得るものだけを理解する。
しかしベケットは、取り残されたものを掬うために、理解のための装置を全て取り去ったところから出発する。
文学的営為の原点とも言われるベケットと彼の作品をどう理解すべきか。最尖端の研究者13人がそれぞれに繰り広げるコラボレーション。ベケット研究最前線。 ⇒[書評]
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目 次
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頁
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まえがき
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1
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可視と不可視のあいだ
ヴェールのレトリック 対馬美千子
ベケットとカメラアイ 田尻芳樹
演劇と理論の間 スティーヴン・コナー
ベケットにおける美術の肌理と運動 近藤耕人
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11
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テクストの多文化性
ベケットとアイルランド 北文美子
ベケットの間テクスト的な力 ジョセフ・S・オリリー
アイリス・マードックのベケット 平井杏子
語学者ベケット 管啓次郎
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87
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身体と感覚
「耳で見る」言葉を探すベケット 堀真理子
海辺のシジュフォス 郷路行生
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177
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コスモロジーのゆくえ
ころがる石の見た夢 森尚也
イェイツのヴィジョンとベケットのテレヴィジョン 岡室美奈子
「ひび割れた心臓」 井上善幸
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219
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あとがき
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303
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索引
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サミュエル・ベケット [Samuel Beckett]
1906年アイルランドのフォックスロックに生まれ、1989年パリで没した作家、劇作家。
1969年ノーベル文学賞受賞。ダブリン、トリニティ大学でロマンス語を学ぶ。
同郷のジョイスを論じた「ダンテ・・・ブルーノ・ヴィーコ・・ジョイス」(1929)と『プルースト』(1931)の2論文は有名。
小説『マーフィー』(1938)、『モロイ』(1951)、『マロウンは死ぬ』(1951)、『名づけえぬもの』(1953)、『ワット』(1953)、戯曲『ゴドーを待ちながら』(1952)、『勝負の終わり』(1957)等を通して、サルトルの実存主義の後、20世紀後半で「存在と無」のテーマを、解体した言葉、主客分裂した視覚、非主体化し消失する一人称など、現代の日常環境となっている人間の条件をいち早く舞台化・映像化し、英仏2言語で演劇と小説に革命をもたらした。
その根底にはアイルランドの笑い、ヴィジョンとイリュージョンの往復運動が秘められてある。
近藤耕人 [こんどう こうじん]
明治大学名誉教授。
著書に『映像と言語』(紀伊国屋書店)、『見ることと語ること』(青土社)、『映像・肉体・ことば』(彩流社)等がある。
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