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全集編者の読むニーチェ グロイター版全集編纂の道程
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マッツィーノ・モンティナーリ 著 / 眞田収一郎 訳・解説
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四六判上製400頁 6,000円(税別)
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ISBN978-4-89642-365-5 C1010
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最も信頼されるニーチェ全集は
イタリアから生まれた――
ナチスに利用されたニーチェ、妹エリーザベトによる私物化……
著者モンティナーリらのイタリア語訳の計画は
ねじ曲げられた全集原本を前に、急遽
自分たちで全集を編む方針へと変更された。
多様に解釈されるがゆえに利用されたニーチェを
遺稿の精査から始まる歴史的、文献学的な手法で
ニーチェ自身にとり戻す試み。
寄稿文、講演による大仕事の顛末とその成果。
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目 次
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頁
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はしがき
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1
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第1章 ニーチェを読む
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13
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第2章 ニーチェ諸著作の新批判的全集
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26
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第3章 一八七五年から一八七九年までのニーチェの幼少期の思い出
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43
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第4章 百年前のニーチェとヴァーグナー
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66
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第5章 啓蒙主義と革命――ニーチェと後期ゲーテ
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92
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第6章 「認識の情熱」としてのニーチェの哲学
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104
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第7章 『ツァラトゥストラはこう語った』以前のツァラトゥストラ
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127
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第8章 一八八五年から一八八八年までのニーチェの遺稿もしくはテキスト批判と力への意志
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148
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第9章 ニーチェの『この人を見よ』の新しい段落
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194
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補遺
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238
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第10章 アルフレート・ボイムラーとジェルジ・ルカーチの狭間にいるニーチェ
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273
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訳者解説
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327
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人名索引
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394
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マッツィーノ・モンティナーリ [Mazzino Montinari] 1928―1986
イタリアのニーチェ研究家、フィレンツェ大学とピサ大学教授を歴任。第二次大戦後イタリア共産党に入党したが、本書を読めば解る通り、イデオロギー的、教条主義的思考とは無縁な学者。ナチス時代の国家社会主義的にして狭隘な民族主義的ニーチェ像を厳しく批判すると同時に、右翼的ニーチェ像を前提とした左翼側からのイデオロギー的、教条主義的ニーチェ批判・解釈をも文献学的な論証に基づく根拠から批判する。文献学的な行程と作業を重視することから、ニーチェ文書館(アルヒーフ)の、ニーチェの遺稿、メモまで含めた著作を徹底的に調査。『ニーチェ研究 ニーチェ研究のための国際年鑑』Nietzsche-Studien Internationales Jahrbuch fuer die Nietzsche-Forschung と『ニーチェ研究のモノグラフィーとテキスト』Monogrphien und Texte zur Nietzsche-Forschung シリーズの創設と編集にも参画。かれの最大の功績は、その歴史的=文献学的な手法であり、これによって現在最も信頼するに足る『批判的=歴史的な新ニーチェ全集』グロイター版が成就された。著書 Nietzsche, Copagnia Edizioni Internazionali, Mirano 1968. Astrolabito-Uabldi-ni Editore, Roma 1975.
眞田収一郎 [さなだ しゅういちろう]
昭和15年東京都に生まれる。慶應義塾大学文学部卒(哲学専攻)。主に九州大学と日本大学で教鞭を執る。現在、ニーチェを中心にした翻訳に従事。主な訳書にE・プファイファー編『ニーチェ・レー・ルー――彼等の出会いのドキュメント』、ジョージ・スタック『ニーチェ哲学の基礎――ランゲとニーチェ』(ともに未知谷)、『ニーチェの手紙』(茂木健一郎編、ちくま学芸文庫)、ヘルマン・マローン『日本と中国』(雄松堂)などがある。
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