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千日の旅 石上玄一郎アンソロジー
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石上玄一郎 著 / 荒川洋治 編・解説
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四六判上製280頁 2,400円(税別)
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ISBN978-4-89642-352-5 C0093
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人は時間・空間を超えて生きている。
時代の精神を表現しえた唯一無二の実存文学!!
戦争前後の時空を律儀なまでに活写した作品に浮かびあがる人間本来の姿。その文章は、漢籍に親しんだ戦前日本人にも稀有な広がりと均斉を保つ! 日本文学史上、いまだどこにも類似作品のない珠玉の作品群から6作を厳選。
新しい時、古くなつかしい時を含めた、ひろい世界とつながって生きるために、文学作品は終極において、どのようなことばの声をあげるのか。森厳な空間をさらに引きしめる、ゆたかな表現をもちつづけること。それは石上玄一郎がもっとも注意を払った、文学の思想だったのかもしれない。(荒川洋治「解説」より)
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目 次
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頁
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針
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5
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絵姿
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93
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鰓裂
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119
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氷河期
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153
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秋の蟇
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209
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蓮花照応
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217
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解説 荒川洋治
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271
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石上玄一郎 [いしがみ げんいちろう]
本名上田重彦。明治43(1910)年札幌生まれ。早くに両親を亡くし、父の郷里盛岡で祖母に育てられる。旧制弘前高校在学中に左翼運動に傾斜、放校処分に。同学年に太宰治がいた。その後、陸中巌、石上玄一郎の筆名で創作活動を開始、昭和14年「針」で文壇デビュー。昭和17年「精神病学教室」を発表し、作家的地位を確立する。昭和27年同人誌『現象』を創刊。実存思想、仏教思想への傾斜、東北の土俗への関心が深く絡まり合い、人間存在の根本的諸層をその最深部から鮮やかに抉り出す特異な作風を確立した。
荒川洋治 [あらかわ ようじ]
1949年、福井県生まれ。早大卒。2005年、新潮創刊100周年記念『名短篇』を編集。著書に『空中の茱萸』(第51回読売文学賞)、『忘れられる過去』(第20回講談社エッセイ賞)、『文芸時評という感想』(第5回小林秀雄賞)、『文学の門』、『昭和の読書』などがある。
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