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夜のぶらんこ
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土肥あき子 著
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四六判上製168頁 2,000円(税別)
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ISBN978-4-89642-254-2 C0092
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『鯨が海を選んだ日』に続く第二句集
才知は人に生得のものだろう。つまり運命なんでしょう。
夜のぶらんこ都がひとつ足の下
たとえば四谷の土手でぶらんこをこげば、夜の新宿区のまたたく灯りは足の下だ。具体であり、同時に構成された映像でもある。
流燈のゆく紐といてゆくやうに
あちらからどつと来ました渡り鳥
直截な描写が、おのずからドラマの一齣でもあるような。一日二十四時間、一年春夏秋冬、ひょっとすると一生涯を、そんなあんばいに生きてしまうらしいとして、おりおりの十七文字は、まずは救いにちがいない。
舐めて癒ゆるけものの傷や春寒し
ときに当惑であり、悲鳴でもあるだろう。
蝌蚪に手の出てきて人に親知らず
ぐつたりと引きあげられし水中花
しかし運命とは、その人ひとりのお荷物とはかぎるまい。はるかなる父祖よりの、そして……。
時雨るるや沖とはたどりつけぬ場所
猟犬に遠吠えといふ独り言
こしかたゆくすえの、あの辻この辻で点してきた十七文字の灯明が、ここに三百。
てのひらにのるほどの、そしてまばゆいあかるさを、われひと共にたのしみましょう。
車座にひとり見知らぬ花衣
小春日の玉砂利どれも孵りさう
小沢信男(作家)
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目 次
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頁
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I章(二〇〇三年)
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5
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II章(二〇〇四年〜二〇〇五年)
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29
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III章(二〇〇六年〜二〇〇七年)
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79
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IV章(二〇〇八年)
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131
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あとがき
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165
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土肥あき子 [どい あきこ]
一九六三年 静岡県生まれ
一九九八年 鹿火屋入会
二〇〇〇年 ににん創刊
二〇〇二年 第一句集『鯨が海を選んだ日』(富士見書房)
二〇〇七年 句画随筆集『あちこち草紙』(未知谷)
現在 鹿火屋同人 俳人協会会員
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