未知谷の刊行物【国内文学】



 
鞍馬天狗のゆくえ 大佛次郎の少年小説
相川美恵子 著
四六判上製176頁 2,000円(税別)
ISBN978-4-89642-229-0 C0095



大佛次郎といえば鞍馬天狗――
大佛の仕事の中核部分には、いつも少年小説を書いていた時の理想があった。
戦前から現在まで子供たちを魅了し続けた児童読み物の意味を問う

 
大佛次郎に惹かれたのは、数多く読んだ戦前戦中の少年小説の中で「角兵衛獅子」が一番面白かったという素朴な理由による。一読者として、胸がおどった。子ども向けであるとかおとな向けであるとか、芸術的であるとか大衆的であるとか、そういう区別を忘れさせてくれたし、書かれて半世紀以上経っているにもかかわらず、かび臭い感じがしなかった。ただし彼の作品を読み続けることになったのには、また別の理由がある。それは、彼が戦争の間も中断することなく少年小説を書き続けたという事実への興味である。戦争中に一度も筆を絶つことなく、なぜ、そのようなことが可能だったのだろうか。
(「おわりに」より)


目  次

はじめに

第泄煤@鞍馬天狗の時代
15 
第一章 鞍馬天狗の世界
一、生い立ち/二、鞍馬天狗の誕生/三、「角兵衛獅子」の登場/四、躍動する鞍馬天狗/五、時代を映し出す鏡/六、「山嶽党奇談」/七、「青銅鬼」
17 
第二章 英雄物語を離れて
一、「海の荒鷲」/二、世捨て浪人たちの登場/三、変化の背景/四、満洲訪問/五、「花丸・小鳥丸」/六、「自由」の終焉
51 
第II部 戦時下から戦後へ
81 
第三章 従軍体験と文学表現の揺らぎ――おとな向けの作品群から
一、「戦争」の始まり/二、〈真面目で誠実な物語〉「帰還」/三、〈真面目で誠実な物語〉「みくまり物語」/四、〈真面目で誠実な物語〉「乞食大将」/五、〈絵空事のような物語〉「明るい仲間」/六、〈絵空事のような物語〉「愛火」/七、〈絵空事のような物語〉「春待つ国」/八、虚構に託して 随筆「浦島」/九、戦後責任
83 
第四章 「楠木正成」論
一、楠木正成という人物/二、理想的軍人像を描く/三、自然描写/四、戦闘場面の描写/五、小犬丸から見えてくるもの
111 
第五章 杉作のゆくえ
一、杉作像と童心主義/二、〈杉作モデル〉と〈癒しの力〉/三、「働く雪ちゃん」/四、戦後の〈杉作モデル〉/五、〈杉作モデル〉の背景/六、幸福の求め方/七、童話に託して
139 
おわりに
167 
初出一覧
 
大佛次郎少年少女向け著作物リスト
 

相川美恵子 [あいかわ みえこ]
1960年生。大垣女子短期大学などで非常勤講師を勤める。2002年に「「幼き者の旗」の誕生過程を考える――メディアがつくる「銃後」」で、日本児童文学学会設立40周年記念論文入選、2003年には「『うすらでかぶつ』にみる読みの開き方――一九七〇年代の入り口をふりかえる」で、日本児童文学者協会第一回評論新人賞入選。共著に『〈いま〉を読みかえる――「この時代」の終わり』(インパクト出版会2007年)、『地球の心はなに思う』(新日本出版社2007年)、また近刊に『はじめて学ぶ日本の戦争児童文学史』(ミネルヴァ書房)がある。日本児童文学学会、日本児童文学者協会、大佛次郎研究会会員。


この商品は下のフォームからご注文いただけます。
翌営業日に小社から折り返し内容確認のメールをさしあげますので、
万が一、小社からのメールが届かない場合は、
お手数ですが、電話等でお問い合わせくださるようお願いします。
 
なお、他の商品も合わせてご注文くださる場合などは、
注文方法]をご覧のうえ「買い物カゴ」をご利用ください。
このフォームは「買い物カゴ」とは連動していませんのでご注意ください。
書   名
著  者
単 価
冊数
鞍馬天狗のゆくえ 大佛次郎の少年小説
相川美恵子 著
2,000円(税別)

お 名 前

郵便番号
000-0000の形で正確にご記入ください。
ご 住 所




※アパート・マンションの場合は号数までご記入ください。
電話番号

Eメール

このページの感想や小社へのご意見・ご要望・質問などをお聞かせ下さい。






 


[HOMEへ][新刊案内へ][全点リストへ]["国内文学"リストへ][前コードの書籍へ][次コードの書籍へ]

未知谷