未知谷の刊行物【国内文学】



 
小沼丹全集 第四巻
小沼丹 著 / 庄野潤三,三浦哲郎,吉岡達夫 監修
A5判・布張上製・美装貼函入 752頁 8頁月報付き 12,000円(税別)
ISBN4-89642-104-3 C0393



端正な都会的感覚と穏かな悠然とした眼ざし。格調高い文章が醸しだす詩情と追憶、ユウモアとペイソス。――醇乎とした小沼文学のすべて。本巻には随筆集全四冊と詳細年譜を収録する。


目  次

小さな手袋

猿 11/喧嘩 13/型録漫録 15/老夫婦 17/小さな手袋 20/テレビについて 25/地蔵さん 28/名前について 29/外来者 30/トト 32/むべ 34/栴檀 36/登高 39/鶯 41/頬白 43/障子に映る影 44/炉を塞ぐ 46/犬の話 48/竜胆 50/山鳩 52/庭先 54/百人一首 55/野茨 57/月桂樹 58/コタロオとコヂロオ 60/濡縁の小石 65/小鳥の話 67/雨の夜 70/枇杷 72/リトル・リイグ 75/後家横丁 76
II
長距離電話 79/ステツキ 82/のんびりした話 85/白樺 88/寒竹 91/断片 93/井伏さんと将棋 97/マロニエの葉 98/大先輩 102/木山さんのこと 105/夾竹桃 107/西条さんの講義 109/お墓の字 112/庄野のこと 114/或る友人 116/十年前 121
III
母なるロシア 124/片片草 128/想ひ出すこと 131/チエホフの葬式 134/古い本 136/チエホフの本 138/国語の先生 140/歌の本 142/複製の画 144/辛夷 146/草木瓜 149/珍本 151/好きな画 152
IV
特急 156/古い地図 158/神戸にて 160/駅二、三 163/倫敦の屑屋 165/倫敦のバス 167/ウオルトンの町 170/夜汽車 171/ウヰスキイ工場 173/アダムの日本語 175/蒸気機関車 178

新編 清水町先生 井伏鱒二氏のこと

将棋 183/マス丸に乗らざるの記 184/随筆 井伏鱒二 187/師と私と 193/釣竿 196/風韻 198/太宰治の記憶 202/御坂峠 210/「厄除け詩集」 215/「かきつばた・無心状」解説 219
II
井伏鱒二 223/清水町の先生 255
III
追悼 横町の井伏さん 264
IV
「現代随想全集」解説 277/「ジョン万次郎漂流記」解説 280/「駅前旅館」解説 285/「くるみが丘」書評 290/「黒い雨」書評 291/井伏鱒二の文学 292/「現代の随想」解説 303/「荻窪風土記」書評 307/「白鳥の歌・貝の音」解説 308
181 
珈琲挽き

つくしんぼ 317/お祖父さんの時計 319/或る日のこと 321/植木屋の帰り 322/花の香 324/自転車 327/狆の二日酔ひ 330/二階席 333/蝙蝠傘 336/落し物 340/古い唄 342/道標 344/鯉 348/籤 350/帽子の話 353/コツプ敷 356/鰻屋 358/冷房装置 361/秋風 362/レモンの木 365/虫の声 368/焚火の中の顔 370/蕗の薹 374/窓 376/辛夷 378/赤蜻蛉 380
**
梨の花 382/文鳥 383/泥鰌 385/お玉杓子 388/巣箱 390/夏蜜柑の花 394/葡萄棚 398/地蔵 401/ぴぴ二世 404/ポポ 406/梅と蝦蟇 408/紫式部 412/鵯の花見 413/侘助の花 416/庭先 419/郭公とアンテナ 422
***
「町の踊り場」425/白鳥の原稿 430/運転手の話 431/珈琲挽き 434/古本市の本 436/四月馬鹿 439/盆栽 441/夏の記憶 443/標識燈 447/老后の愉しみ 448/遠い昔 451/「塵紙」 455/追憶 456/国語の教科書 458/幻の球場 461/楽屋裏 463/酒のこと 465/人違ひ 468/出羽嶽 470/小山さんの端書 473/長沢先生 477/松本先生 480/日夏先生 483/昔の西口 488/想ひ出すまま 491/古いランプ 494/筆まめな男 497/かたかごの花 500
****
床屋の話 503/倫敦のパブ 510/マリア像 513/仙人 515/鰻の化物 518/パア爺さん 521/古い町 523/記憶の断片 525/アテネの時計 526/ロンドンの記憶 529/幽霊の話 536/遠い人 540/黒鳥 541/丘の墓地 543/夢の話 545
315 
新編 福寿草

小さい犬 551/The Old Familiar Faces 552/名画祭 554/胡桃 557/南禅寺前 558/雀の話 560/横好きの弁 563/三鷹台附近 566/喪章のついた感想 568/髭 572/雑感 573/あの頃の新宿 574/竹帛会 580/蜂の話 582/禁烟について 583/消えてゆく小径 585/四十雀 587/「ライフ」 588/倫敦の夏 589/切抜から 590/代返 592/近況 593/灯影 594/以心伝心 596/サイモンの碁 598/地獄の釜の蓋 600/窓のなか 602/動物園 602/将棋 604/散歩路 606/碁敵 610/女子学生 613/酒友 614
**
「さくら」 615/珈琲の木 616/将棋の話 619/福寿草 622/目白の夫婦 623/昔と今と 625/栗の木 626/「懐中時計」 627/将棋盤 629/散歩路 630/セザンヌの記憶 632/四十雀の記憶 634/間違電話の話 635/井伏さんと堀辰雄のこと 639/消えた飛行機 640/かんかん帽 642
***
文学に現れた占ひ 645/「大尉の娘」 652/ゴオゴリ 653/「チェーホフの思い出」(池田健太郎編)書評 655/「アニユウタ」 656/「クオレ」 657/デフオと私 658/デイケンズと私 665
****
「沢がに」(尾崎一雄)書評 679/「史伝 早稲田文学」(浅見淵)書評 681/「白い屋形船」(上林暁)書評 684「ばあやん」(上林暁)書評 685/「茶の木」(木山捷平)書評 687/「石垣の花」(木山捷平)書評 688/「落穂拾ひ」(小山清)解説 689/「小山清全集」書評 692/「絵空ごと」(吉田健一)書評 695/「ロッテルダムの灯」(庄野英二)書評 696/「にぎやかな家」(庄野英二)解説 697/「つむぎ唄」(庄野潤三)書評 701/「自分の羽根」(庄野潤三)紹介 701/「紺野機業場」(庄野潤三)書評 702/「クロッカスの花」(庄野潤三)書評 703/「夕べの雲」(庄野潤三)解説 704/「野鴨」(庄野潤三)書評 714/「イソップとひよどり」(庄野潤三)書評 716/「陽気なクラウン・オフィス・ロウ」(庄野潤三)書評 718/「木馬の騎手」(三浦哲郎)書評 720
549 
解題
723 
年譜
727 
第四巻 月報
 小沼丹で遊ぶ 山田稔
 『椋鳥日記』雑感 平岡篤頼
 小沼さんの視線 大河内昭爾
 編輯を終へて 大島一彦
 

小沼丹 [おぬま たん]
大正7年、東京生れ。昭和14年、明治学院在学中に「千曲川二里」を発表。井伏鱒二を訪問、爾来師事する。昭和15年、早稲田大学文学部英文科入学。昭和29年「村のエトランジェ」刊。昭和30年「白孔雀のいるホテル」刊。両表題作とも芥川賞候補となる。昭和33年、早稲田大学文学部英文科教授。「黒いハンカチ」刊。昭和44年「懐中時計」刊、読売文学賞受賞。昭和45年「不思議なソオダ水」刊。昭和46年「銀色の鈴」刊。昭和47年、早稲田大学在外研究員として半年間渡英。「更紗の絵」刊。昭和49年、ロンドン滞在記「椋鳥日記」刊、平林たい子賞受賞。昭和50年「藁屋根」刊。昭和51年「小さな手袋」刊。昭和53年「木菟燈籠」刊。「小沼さんの印象は最初のときも現在も、少しも変らない。作品はユーモアに渋味を増して、そして、いつも隣人の気安さでこちらを引きこんでくれる。小沼さんの私小説には、小沼さんの飾らない人柄がそのまま滲み出ている。近作の収められた『木菟燈籠』も、忘れ難い作品が多い」(島村利正)。昭和54―55年「小沼丹作品集」(全五巻)刊。「小沼丹を好む人が多くなって来ているという。それがみな文学の読み手としては年季の入った人ばかり…。何がそれほど惹きつけるのか。何が親しみと共感のうちにやがて深い喜びと安らぎをもたらすのだろう。誠実味だろうか。腕白とユーモアだろうか。決して愚痴をこぼさない男らしさだろうか。詩的感受性の細やかさだろうか。東西の文学、芸術から吸収して当人の気質に融け込ませてしまった教養の力だろうか。悠悠としているところだろうか。つまるところは才能というほかないのである」(庄野潤三)。昭和55年「山鳩」刊。昭和61年「埴輪の馬」刊。平成1年、日本芸術院会員。平成4年「清水町先生」刊。平成6年「珈琲挽き」刊。平成8年11月歿。平成10年遺稿集「福寿草」刊。

小沼丹全集
[第一巻](品切れ)  [第二巻] [第三巻] [補巻]

[風光る丘] [黒と白の猫]


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小沼丹全集 第四巻
小沼丹 著
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