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菊池寛のうしろ影
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片山宏行 著
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224頁 2,200円(税別)
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ISBN4-89642-022-5 C0095
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日本近代文学の黎明期、作家たちは海外文学の多大な影響下にあった。早世した芥川龍之介の天才と対峙した博覧強記の菊池寛作品の背景を明示し、彼の文学の妙を解明する。
文学を語る方法が次々と出てくる。小説はなにをどのように書いてもいいらしいから、文学作品もどう読んでも構わないのだろう。私は菊池寛の楽屋裏を覗くことにした。典拠探しと言えば聞こえもいいが、最近の人には単なる作品のネタ探し以上のものではないのかもしれない。私は文学を〈文化現象〉と見るたちなので、作品の鑑定や霊媒師となって作家の言葉を代弁するような恥ずかしいことは出来るだけ避けたい。本書は菊池寛の後ろ姿を追い、その作品の出来るまで、を書いたつもりである。もし執筆の手際に私の「情」が見え隠れしたなら、それは私の前頭葉をあふれた菊池寛への「愛情」だと思っていただけると、照れくさいが、多少嬉しくもある。
(「あとがき」より)
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目 次
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頁
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序
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1
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第一部
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9
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一 菊池寛の早わざ――「暴徒の子」
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11
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二 漱石ショック――「閻魔堂」
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16
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三 テニスと菊池――「第一人者」ほか
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22
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四 「父帰る」の補助線――「不良少年の父」
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28
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五 人間性の道徳――「島原心中」
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33
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六 新聞記者菊池寛――「群衆」「たちあな姫」
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39
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七 死児の齢――「愛児不死」
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45
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八 シングの影――「茅の屋根」
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51
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九 菊池と芥川――「仇討三態」
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55
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十 善性――「恩讐の彼方に」
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62
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十一 文壇楽屋裏――「入れ札」
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68
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十二 〈盗み〉というトラウマ
――「盗みをしたN」
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75
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十三 水没譚――「亡兆」
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81
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十四 ラッシュアワー――「我鬼」
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87
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十五 時代の寵児――「流行児」「真珠夫人」
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93
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第二部
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101
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大正五年八月の書簡より――「海鼠」
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103
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「火華」――菊池寛と左翼思想
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115
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ハーディ「アリシアの日記」――「姉の覚書」
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135
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「藤十郎の恋」生成考
1 「坂田藤十郎の恋」ボツ事件 158/2 返書 164/3 戯曲「坂田藤十郎の恋」 168/4 心理劇という要素 172/5 痴雪の工夫 176/6 小説「藤十郎の恋」 180/7 「藤十郎の恋」の生成 185/8 「坂田藤十郎の恋」の位相 187/9 同人評の意味 193
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157
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あとがき
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203
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人名索引
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i
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書名・作品名索引
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iii
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