* 渋好み、通好みといわれる読書家が挙げる好きな作家の一人に小沼丹がいる。その馥郁とした燻銀のような光を放つ作品は、読む者を魅了しつづけてきたと言えるだろう。本全集は、その最初期作品から晩年の作品までを収め、小沼文学の決定版全集を目指す。
* 己の作品の単行本化に際して、氏はまことに厳しかった。例えば明治学院高校在学中に学校の機関誌に発表して、井伏鱒二氏の門を叩くきっかけとなった「千曲川二里」は、後に単行本に収録されることはなく、幻の作品とさえなっている。本全集では、それら単行本未収録の作品から新たに16篇を厳選し、第一巻から第三巻に配した。
* 内容見本を御請求下さい。
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