|
|
|
|
ヴィルヘルム・ミュラー読本 「冬の旅」だけの詩人ではなかった
|
松下たえ子 著
|
四六判上製320頁 3,000円(税別)
|
ISBN978-4-89642-637-3 C0098
|
|
|
あのハイネをして
「ゲーテは別格ですが、
あなたほど私の愛する歌謡詩人は
他にはいません」
と言わしめた
偉大なる詩人の実像と復権
小詩集80頁併載
「ヴィルヘルム・ミュラー」と言っても、「知らないなあ」というそっけない反応。
しかし、ほら、あのシューベルトの「美しき水車屋の娘」や「冬の旅」の詩を書いた人と言うと、「ああ、そう言えば聞いたことがある。そう、歌詞はヴィルヘルム・ミュラーが書いたんだっけ」と何か懐かし気な反応が返ってくる。……かくいう私もその一人である。……ヴィルヘルム・ミュラーという詩人について調べ始めると、プログラムには書ききれない興味深い事柄を次々と知ることになった。
彼の作家活動は三十三歳になる誕生日直前の急逝までの一〇年余でしかない。……彼の書いた全七八三の詩のうち、一二三の詩に二四一名の作曲家が付曲し、その数は五三〇曲にのぼるとされる。歌曲として演奏され、鑑賞されるものも、酒宴の歌、逍遥の歌として、様々な機会に歌い継がれて親しまれてきたものもある。ハイネが賞讃したように、その作風は民謡にも似た易しい言葉と歌心にあふれたものであった……
(「まえがき」より)
|
|
|
目 次
|
頁
|
まえがき
|
1
|
I ヴィルヘルム・ミュラーの生涯
|
11
|
一 デッサウに生を受けて(一七九四〜一八一二)
|
11
|
二 デッサウを離れて(一八一二〜一八)
|
18
|
三 デッサウでの再出発(一八一八〜二七)
|
33
|
II 旅するはミュラーの歓び
|
49
|
一 イタリアの旅 紀行ジャーナリズムの誕生
|
50
|
二 ロマン派の旅 ロマン派の衣装をまとって
|
64
|
三 ユダヤの旅 オリエンタリズムの先駆け
|
89
|
四 ギリシャの旅 ギリシャ人・ミュラーの誕生
|
104
|
五 ワイン王国の旅 政治的シャンソン
|
124
|
六 冬の旅 共同体の夢からの逃亡者
|
142
|
七 夏の旅 旅するはミュラーの歓び
|
173
|
III 旅の碑 ヴィルヘルム・ミュラー受容史
|
196
|
一 シュヴァープ「ミュラー伝」の功罪
|
197
|
二 息子マックス・ミュラーの残したもの
|
199
|
三 アメリカのヴィルヘルム・ミュラー研究
|
202
|
四 遺稿の旅
|
206
|
五 デッサウの碑
|
210
|
六 ドイツの碑 そして世界各地で
|
211
|
七 日本に於けるヴィルヘルム・ミュラー
|
215
|
ヴィルヘルム・ミュラー 小詩集
|
221
|
詳細目次
|
222
|
あとがき
|
304
|
ヴィルヘルム・ミュラー 年譜
|
307
|
参考文献
|
313
|
図版一覧
|
319
|
松下たえ子 [まつした たえこ]
長野県生まれ
ベルリン自由大学文学博士号取得
成蹊大学元教授
著書に『評伝エルゼ・ラスカー−シューラー』(慶応義塾大学出版会)、編著書に『言葉と力』(三省堂)、訳書に『至福の烙印』(クラウス・メルツ著、白水社)、編訳書に『ミレナ 記事と手紙』(ミレナ・イェセンスカー著、みすず書房)等がある。
|
|