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散策探訪コロムナ ペテルブルク文学の源流
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近藤昌夫 著
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四六判上製248頁 2,500円(税別)
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ISBN978-4-89642-485-0 C0095
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ロシア文学はペテルブルクと共にうまれた。原点はそのコロムナ地区にある! プーシキン『青銅の騎士』ゴーゴリ『外套』ドストエフスキー『罪と罰』コロムナの何が古典を生んだのか?! 良き協力者を得て、自らの足で訪ねた記録。
ロシア文学愛好者のための探訪ガイドともなる。参考図版251点。
ブロツキーがいうように、ロシア文学がペテルブルクとともにうまれたのであれば、その原点はコロムナにあるのではないか。
プーシキンの『青銅の騎士』も、ゴーゴリの『外套』も、ドストエフスキーの『罪と罰』もコロムナと関わりがある。
しかも本質的な関わりをもっている。
『青銅の騎士』では、コロムナの住人エヴゲーニィに、一八二四年の記録的大洪水を再現する儀礼遂行者の役割が与えられている。
『外套』の主人公アカーキィは、コロムナの広場で外套を盗まれ、幽霊になってコロムナのカリンキン橋で復讐を果たしたのだった。
『罪と罰』の金貸し老婆アリョーナの家も、ソーニャ・マルメラードワの家も、そしてラスコーリニコフの下宿もやはりコロムナにあり、ラスコーリニコフはコロムナの広場で蘇りの契機をつかむ。
いったいコロムナの何がロシア文学を代表する古典をうみだしたのだろう。
何か痕跡のようなものは見つからないだろうか。
(…中略…)
本書は、ペテルブルクでの日々の生活、そして二十一世紀の今に伝わる文化的伝統や習慣に、文学のコロムナを探す試みである。
関連するペテルブルク小説の紹介や市販のガイドブックにはあまり載らないペテルブルク案内にも配慮した。
(「まえがき」より)
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目 次
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頁
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まえがき
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1
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1 ガガさんとコロムナ
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21
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2 コロムナの聖地エカチェリンゴフ
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41
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3 ペテルブルクで寿司を巻く
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54
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4 マヤコフスキー『南京虫』
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65
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5 「未来派の祖父」ニコライ・クリビン
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78
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6 ガガさんの誕生日
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89
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7 ユーモラスな話の玉手箱
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101
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8 芸術の冬と四人組の盗賊
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118
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9 エクスクルシヤ「クロンシュタット探訪」
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130
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10 大晦日と元旦
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147
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11 クリスマス
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157
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12 アストラハンから来た画家ガフールさん
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169
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13 アプラークシン・ドヴォールとコロムナの画家たち
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175
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14 ドストエフスキーの孫ドミートリィさん
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188
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15 ヴェルテプと神現祭
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198
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16 ガガさんとの別れ
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207
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17 追善供養
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217
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18 水の十字架
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224
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あとがき
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227
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コロムナ文学邦訳案内
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239
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主要参考文献
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240
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近藤昌夫 [こんどう まさお]
東京外国語大学大学院修了。専攻、ロシア文学。現在、関西大学外国語学部教授。著書に『ペテルブルク・ロシア――文学都市の神話学』(未知谷、2014年)、共著に、『文化の翻訳あるいは周縁の詩学』(水声社、2012年)、『バッカナリア 酒と文学の饗宴』(成文社、2012年)、『イメージのポルカ』(成文社、2008年)、『都市と芸術の「ロシア」』(水声社、2005年)、『ヨーロッパの祭りたち』(明石書店、2003年)、共訳書に、『ロシア・アヴァンギャルドG/ファクト──事実の文学』(国書刊行会、1993年)等。訳書に『チェーホフのこと』(B. ザイツェフ、未知谷、2014年)がある。
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