未知谷の刊行物【海外文学 / 紀行】



 
五大湖の夏
マーガレット・フラー 著 / 高野一良 訳・解説
四六判上製384頁 3,800円(税別)
ISBN978-4-89642-335-8 C0098



1843年、ナイアガラから五大湖を巡る旅に出た――
 
陸路は整わず蒸気船で町々を行き、馬車で足を延ばす。
インディアン、果てのない大平原……
開拓者が定住し始めた時代。
本書は“旅行記であって旅行記ではない”。
無垢の自然を賞讃する一方で、突然挿入される
架空の少女、女性霊視者、インディアン旅行記からの引用
縦横無尽の大いなる脱線。
時代を先取る雑誌的手法は様々な読み解きを誘う。
大自然に耳を傾け、先住民の精神に共感し
国力を蓄えつつある米国の進む先のオルタナティヴな道を探る。
アメリカのフェミニストのパイオニア
ホーソーンの小説のモデルにもなった
19世紀中葉、米国を代表する女性知識人、待望の本邦初訳!


目  次

第一章
一八四三年六月、ナイアガラにて 10
10 
第二章
五大湖 23/六月二十日、シカゴ 44
23 
第三章
62 
第四章
シカゴ再び 102
102 
第五章
ウィスコンシン 155
155 
第六章
マキノー 232
232 
第七章
スーセントマリー 323
323 
解説
349 

マーガレット・フラー [Margaret FULLER] (1810―1850)
19世紀半ばのアメリカ合衆国を代表する女性知識人。1810年政治家の長女として生まれる。思想家、評論家、ジャーナリスト、詩人として活躍し、女性の権利、犯罪者や貧困者など社会的弱者、アメリカン・インディアンをめぐる人種問題など、多様な問題に関心を寄せた。ホーソーンの小説『ブライズデイル・ロマンス』の主要登場人物ゼノビアはフラーがモデル。代表的な著作に本書『五大湖の夏』(1844)と『十九世紀の女性』(1845)。『十九世紀の女性』はアメリカ初の本格的フェミニスト宣言と称されることもある。ハーバード大学図書館で調査を許可された女性第一号。夫、息子と共にヨーロッパから帰国 途上、船が難破、享年40歳。
 
高野一良 [たかの かずよし]
1959年生まれ。東京都立大学人文学部講師、助教授を経て、現在、首都大学東京都市教養学部教授。専攻領域はアメリカ文学及びアメリカ文化。共編著『アメリカの嘆き――米文学史の中のピューリタニズム』(松柏社、1999)、共著『メルヴィル後期を読む』(中央大学出版部、2008)など。


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五大湖の夏
マーガレット・フラー 著
3,800円(税別)

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