未知谷の刊行物【国内文学】



 
わが友吉行淳之介 その素顔と作品
鈴木重生 著 / GYRO,安原七重 装幀
四六判上製208頁 2,000円(税別)
ISBN978-4-89642-191-0 C0095



旧制静岡高校の同級生が語る等身大の吉行淳之介――
ダンディズムの虚像を剥ぐことで見えた気鋭の人物・作品論

 
彼は私たちと同じ人間でした。野暮でもあり、気どり屋でもあり、人を恨みもし、愚痴もこぼす。しかしそういう、私たちと変わるところのない人間が、いかにして文学に一生を賭けたか、彼が力を尽くして立ち上げた文学世界はどんなものだったか――(「あとがき」より)


目  次

第一章 生身の吉行淳之介論
あのときの窓ガラス/虚像のひとりあるき/作品の底にあるもの/戦争体験/内的リアリズム/詩から散文へ/反俗的な姿勢/吉行論に欠けているもの

第二章 可能性をはらむ「初期作品」
初期作品の可能性/初期作品の範囲/『葦』所載の吉行作品/『葦』の詩/『葦』の小説/『路上』の工夫/ヒリヒリと迫る『藁婚式』/散文の処女作『薔薇販売人』/友人の被爆と『谷間』/『祭礼の日』の象徴技法/コミックな『治療』/初期作品の評価を進めて
27 
第三章 心理小説としての『驟雨』 墨東綺譚
配置されたシンボル/時計屋と写真/シンボルの連鎖/間接的な心理描写/『驟雨』は心理小説/作品の主題と展開/タイトルの「驟雨」/『墨東綺譚』の雨/永井荷風と吉行淳之介/『驟雨』のフランス語訳/原文との照合/フランス語訳の問題点/『驟雨』の芥川賞選評
57 
第四章 戦争体験を綴る『焔の中』
戦争文学の一つ/突部隊とアメリカ軍/軍隊の内務班/召集解除/中学時代、高校時代/「聖戦」/空襲と少女/東京と原子爆弾/敗戦/「犬死」論/『焔の中』について
76 
第五章 誤読された『闇のなかの祝祭』
なぜ「闇」か、「祝祭」か/肉体と精神と/「実生活を引きはがす」/スキャンダル化を防ぐ/「ふやけた作品」か/「シニックな姿勢」か/人物のデフォルメ/話の展開/黒い電話 赤い薔薇/最終場面/『風景の中の関係』/草子と奈々子の原型/『闇のなかの祝祭』評/吉行作品の二類型
102 
第六章 『暗室』の再検討
『暗室』への違和感/発表直後の批評/「断片構成」についての賛否/その後の『暗室』論/「断片構成」の仕組み/「断片構成」の意味/つながりの悪い「断片」/「人物構成」の仕組み/前半「人物構成」の問題点/後半「人物構成」の問題点/『暗室』についての私見/作品と現実世界
129 
第七章 『夕暮まで』の豊かさ
『夕暮まで』の完成/「夢」について/地名と人名/作品の視点/色彩の扱い/心理の描き方/反心理主義について/第二章のテーマ/「赤」と「黒」/第六章の「黒」/第七章と末尾/精神の消去法/『夕暮まで』評(一)/『夕暮まで』評(二)/『夕暮まで』評(三)/『夕暮まで』と内的リアリズム
154 
第八章 吉行淳之介と「第三の新人」
「第三の新人」とは/「戦後派」と「第三の新人」/「第三の新人」への批評/最近の「第三の新人」論/吉行淳之介の再評価
181 
吉行淳之介主要作品年表 193/静岡高等学校史年表抄 202
 
あとがき
205 

鈴木重生 [すずき しげお] 青柿堂
1925年出生。旧制静岡高等学校卒業。東京大学フランス文学科卒業後、中央大学教授を経て、現在は同大学名誉教授。著書に『虚空から花を――若き日の吉行淳之介』(中大人文研)、『正・続ヌーヴォー・ロマン周遊』(ともに中大出版部)、『サン・モールの月』(短篇集・青柿堂)ほかがある。


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わが友吉行淳之介 その素顔と作品
鈴木重生 著
2,000円(税別)

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