未知谷の刊行物【国内文学】



 
語流路――ゴールウェイまで
中川龍紀 著
256頁 2,000円(税別)
ISBN4-915841-82-0 C0093



管理社会から外れ、見はてぬ夢を追う男に示された暗褐色の小石、その石の由来を確かめに忠男は極西の国アイルランドへ渡った――実体験に基づき、単なる放浪譚を超えて、無償なものに賭ける旅を描いたデビュー作。純粋さが気持良い作品。


目  次

プロローグ

1 忠男はヒッチハイクしたトラックから夜の神戸の街へ跳び降りると、空きっ腹を抱えたままとりあえずのねぐらを探しに駅へ向った。
10 
2 神戸の街の土地カンも身につき始めた忠男は初めての朝コーヒーをご馳走になった楽一郎老人の存在が、なぜか気にかかりはじめた。
18 
3 電話ボックスで目を覚ました忠男は宿酔の重い瞼を明けると駅への道をとり、広場で楽一郎と再会し、朝食を共にした。
24 
4 楽一郎の部屋にころがりこんだ忠男は雨で仕事に出られない日など、それぞれの想い出を語り合うようになっていた。
31 
5 若い頃から長年心に秘めていた話を、楽一郎は忠男にとつとつと語りはじめたのだが……
36 
6 楽一郎の放浪譚――小さな暗褐色の石を残して消えた酔いどれ男ベン・ブルベン、アラン、イニシュモア……
42 
7 愛蘭土行きを依頼された忠男だが、引き受けようにも問題は山積している。流浪の身にパスポートは? 言葉は? 渡行費用は?
49 
8 ダブリン空港に降り立った忠男はシティセントラルへ向った。ジョン・パワーで身体をほぐし、高架わきのビルにねぐらを確保した。
53 
9 アイルランド初めての朝は気持ちの良い天気であった。街を散策し、午後の公園でまどろむ内にもザックの底に入れた石が気にかかる。
60 
10 ダブリンで数日を過ごした忠男は楽一郎がベンと出会ったという街、大西洋を臨むゴールウェイを目的地として国道でヒッチを始めた。
66 
11 北西へ五〇マイルの街マリンガーに着いた忠男はカフェの老主人にベン・ブルベンの写真を見せられたが……
76 
12 ギネスの歓迎攻めにあった忠男はトニー老人の家で二日酔いを醒ましロングフォード近郊のB&Bのノートに楽一郎の痕跡を見つけた
86 
13 ロングフォードもいいがキャリック・オン・シャノンはもっといいと薦めるドライバージョナサンの言葉に乗って河と湖の街を訪れた。
100 
14 スライゴーの街イエーツ記念館で開かれていた個展にフラッと入った。雨やどりした駅で誘われ地元の結婚パーティーの会場へ……
111 
15 個展会場で青年画家ジョンがくれた紹介状を持ってドラムクリフのスティーヴン老を訪ねたが、そこはベン・ブルベンの山懐であった。
135 
16 ブッシュ・ミルズを呑みながらドネゴールのロヴを知り、早速ヒッチして城近くの公園を訪ねロヴと巡り会いチャーリーの家へ行った。
161 
17 ダングロウは静かな街で、幻めく大男の記憶は残っていたが、肖像が少し膨らむだけであった。ベンの正体は掴めないのかもしれない。
181 
18 最後まで諦めない決意でゴールウェイへ、ロイズバーへ辿り着いた忠男は店主のショーンとも親しくなり常連たちに旅の目的を語った。
201 
19 俺の船でイニシュモアに渡らないかと言うジョゼフの言葉で島の港キルローナンに降り立った忠男はリアム老の話を聴くこととなった。
222 
20 リアムの消えた友人という情報がすべてだった。忠男はロイズに戻り、クリスマスの夜をブラック・ブッシュでショーンと過ごした。
238 
エピローグ
241 
あとがき
245 
解説――みやこうせい
247 


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語流路――ゴールウェイまで
中川龍紀 著
2,000円(税別)

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