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剣聖武蔵伝
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菊池寛 著 / 菊池寛顕彰会 編
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四六判上製192頁 2,000円(税別)
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ISBN4-89642-087-X C0095
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吉川英治など現代武蔵像の原型となった論攷、初の単行本化成る
幻の評伝(昭和19年『毎日新聞戦時版』56回連載)ここに復活!!
新免武蔵に関しては、正確な記録はない。「武将感状記(生・続)」「新免武蔵先生伝記」「武蔵論」等々、人々の見聞が伝承変化していくつもの伝説が生まれた。菊池寛は武蔵を単なる剣術使いの英雄とは見ず、さまざまな異説を武蔵自身の手になる三つの著作『独行道』『兵法三十五個条』『五輪書』に照らしてその真実相を明示する。剣に学び経験を深めて己れを鍛え上げ、思想にまで昇華する人物像だ。
われわれの抱く宮本武蔵像の源流がここにある。
武蔵といふ人を偉いと思ふのは、通念化した教養の助けを借りず、彼が自分の青年期の経験から直接に、ある極めて普遍的な思想を独特の工夫によつて得るに至つたといふ事です。戦国時代といふ時代は、言ふ迄もなく教養より専ら実地経験に頼るものが成功した時代で、様々な興味ある実行家のタイプを生んだのであるが、かやうな経験尊重の生活から、一つの全く新しい思想を創り出す事に着目した人は絶無であつたと言つてよい。武蔵は、敢へて、それをやつた人だと思つてゐる。 (「あとがき」より)
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目 次
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頁
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剣聖武蔵伝
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5
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英雄伝
英雄漫談 141/日本英雄論 153
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あとがき――郡司勝義
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175
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菊池寛 [きくち かん]
本名ひろし。
1888年高松市生れ。京都帝大卒。
芥川龍之介らと『新思潮』に参加し、後に『文藝春秋』を創刊する等、日本近代文学の黎明期に博覧強記の小説家、劇作家として活躍。
小説に「恩讐の彼方に」「真珠夫人」等、戯曲に「父帰る」等多数がある。
1948年没。
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