|
|
|
|
ブレックヴァルトが死んだ ノサック短篇集
|
ハンス・エーリヒ・ノサック 著 / 香月恵里 訳・解説
|
四六判288頁 2,400円(税別)
|
ISBN4-89642-081-0 C0097
|
|
|
人は私を放蕩息子と呼んだ――だがそれは嘘だ。
はっきりと言おう。私の始まりは逃亡ではなかった。
私の始まりは――唾棄されたのだ。(「追悼」より)
大空襲で廃墟となったハンブルク、その何もない寂寥とした風景のなかで、ひとり虚無の深淵の縁に佇むノサック。
ノサックは孤独な人間の究極の姿と愛を、モノローグとメルヘンのなかに見つめる。
静謐な内面独白の積み重ねのうちに、ノサックが描き上げる世界は、人間存在と分かち難くある悲歌であり、それはまた大いなる人間賛歌となっている。
「孤独な輝きを放つ宝玉」と評されたノサックの短篇世界がここにある。
現代文学の深い慰藉がここにある。
|
|
|
目 次
|
頁
|
玄関ホールでの出会い
|
7
|
ヘリオス有限会社
|
21
|
追悼
|
49
|
特異な事例
|
147
|
蟻! 蟻!
|
173
|
六つのエチュード
生クリーム添えメレンゲ 193/ペンナイフ 199/ネオンの灯 212/大きな助け 224/汝の敵を殺せ 239/ヴィクトリア 251
|
191
|
解説
|
265
|
訳者あとがき
|
283
|
ハンス・エーリヒ・ノサック
1901年北ドイツのハンブルク生まれ。戦前から詩や戯曲を書いていたが発表の機会がなく、各種の職を転々とした後、父の経営する貿易会社で働き、後にはその経営に携わる。1956年から専業の作家として活躍。1961年、ビューヒナー賞を受賞して評価を確立する。戦後ドイツを代表する作家の一人であり、日本語を含む多くの言語に作品が翻訳されている。1977年ハンブルクにて没。作品は『影の法廷/ドロテーア』(白水社)、『短篇集 死神とのインタビュー』(岩波文庫)、『遅くとも十一月には』(白水社)、『弟』(集英社)、『物語集 玄関ホールでの出会い』、『文学という弱い立場』(晶文社)、『盗まれたメロディー』(白水社)、『待機』(集英社)、他多数。
香月恵里
1961年福岡県生まれ。西南学院大学、岡山大学を経て関西学院大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ文学専攻)単位取得退学。専門は現代ドイツ文学。
1993年から岡山商科大学商学部講師。訳書に『照らし出された戦後ドイツ』(人文書院 共訳)等がある。
|
|