未知谷の刊行物【海外文学】



 
郡虎彦英文戯曲翻訳全集 全一巻
郡虎彦 著 / 横島昇 訳・解説
四六判352頁 函入り 5,000円(税別)
ISBN4-89642-080-2 C0098



幻の悲劇三部作、ここに復活! 本邦初訳
J・ジョイス、T・S・エリオット、ヴァレリー、プルースト…ヨーロッパの文芸世界が大いなる転換期を迎えた20世紀初頭、演劇ジャンルで独自の悲劇空間を構築し、絶讃された一人の日本人がいた。スイスで夭逝した郡虎彦である。
「日本の劇作家で明白な悲劇作家といふと、世阿弥、近松…の浄瑠璃作者、…近代劇時代に入つてからは郡虎彦の他には見当たらない」。三島由紀夫にこう言わしめた郡は、その戯曲三部作を、すべて典雅きわまりない英文で書き下ろしていた。
「無冠の英国女王」と言われたエレン・テリーは、郡の『義朝記』を一読して「これほど詩情豊かな芝居を、私は今日まで一度も読んだことがありません」と絶讃し、その上演を後押しした。 ロンドンを初めとして西欧各地で上演され好評を博していながら、その典雅な英文ゆえ翻訳されることのなかった郡の悲劇三部作『サウルとダビデ』『親王アブサロム』『義朝記』を含む全英文戯曲が、郡の精神にそった彫心鏤骨の見事な翻訳によって完成した。資料として唯一の日本語戯曲「道成寺」を収録することで、本書は郡虎彦全戯曲集となり得た。


目  次

サウルとダビデ

親王アブサロム
89 
えせ騎士
171 
鉄輪
199 
義朝記
215 
【資料】道成寺
283 
解説 郡虎彦 悲劇の輝光
313 

郡虎彦 [こおり とらひこ]
1890年、東京生まれ。学習院高等科時代、「白樺」の最年少の同人、「エレクトラ梗概」を発表。1911年、東京帝国大学入学。「スバル」に「鉄輪」「清姫 若しくは道成寺」発表。1912年、帝国劇場にて『道成寺』上演。1913年、大学中退、渡欧。パリ、ミュンヘンを経て、翌年ロンドンに移る。『サウルとダビデ』『鉄輪』等を執筆。1917年、ロンドン・クライテリオン劇場にて『鉄輪』上演。1918年、『親王アブサロム』執筆。1920年、スイスに転地療養。1921年、『義朝記』執筆。1922年、ロンドン・リトル・シアターにて『義朝記』上演、好評、劇評等は90篇以上に及び、ヨーロッパ劇壇にて声価を確立した。『義朝記』仏・独・伊語版等刊。1924年、スイス・モンタナで没。歿年34歳。
 
横島昇 [よこしま のぼる]
1953年、京都生まれ。京都外国語大学英米語学科卒業同大学院修士課程修了。 著書『フランシス・キング 東西文学の一接点』(こびあん書房、1995)、訳書にフランシス・キング『日本の雨傘』(河合出版、1991)、フランシス・キング『家畜』(近刊)。


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郡虎彦 著/横島昇 訳・解説
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