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古鏡の沈黙 立憲革命期のあるムスリム女性の叫び
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ジャーレ(アーラム=タージ・ガーエムマガーミー) 著 / ザフラー・ターヘリー 解説 / 中村菜穂・鈴木珠里 訳
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四六判上製224頁 2,200円(税別)
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ISBN978-4-89642-373-0 C0098
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ミシンが文明開化であったイラン近代化の黎明期
誰にも見せられず本に挟まれていたある女性の詩に
当時のイラン女性みなの苦しみと抑圧が明かされる
フェミニズムに興味のある方、必読の詩篇
ああ、まだこの世に生まれぬ者たちよ!
私の人生は、死よりも過酷だった
私の苦しみをもし書き記したら
千巻の叙事詩ともなったでしょう
私たちの暮らしは二つの神の手のひらにある
あちらの神は天におわしますあの神様
こちらの神は地上の夫という存在
(本文より)
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目 次
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頁
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序 ザフラー・ターヘリー(中村菜穂 訳)
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1
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1 私は私自身に……
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11
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2 男がわざと女を苦しめるなら……
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11
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3 いったいどうなったかしら……
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15
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4 私はこの苦しみを知るもののうちに……
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18
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5 人生とは何?……
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21
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6 母親がわが子と引き裂かれたなら……
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25
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7 妹が尋ねた……
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26
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8 獣のような心をもって……
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27
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9 私のおなかに隠れた、ふたりめのわが子よ!……
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31
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10 最愛のわが子の死より……
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33
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11 私の話し相手は……
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35
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12 井戸のような閨房の中……
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43
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13 母親たちの愛の物語を読み……
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45
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14 男はもし女への愛の激しさに……
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46
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15 鏡よ、この炎のような目をした……
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50
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16 私の頭から足の先まで……
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53
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17 ねえシンガーのミシンよ!……
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55
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18 懺悔の扉は開いている……
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60
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19 ねえ古い櫛よ……
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62
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20 アフタルよ……
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64
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21 ねえ私の情深い親友よ!……
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68
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22 母親の愛は……
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71
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23 私の青春はみな……
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72
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24 ねえ鏡よ……
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74
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25 あの日々は去った……
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78
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26 妬みを持つことで……
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83
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27 本当に、未亡人は……
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90
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28 この色あせて擦り切れたコートは……
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93
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29 あなたとたとえ数日離れても……
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96
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30 これは私?……
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104
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31 貞節を王冠のように……
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111
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32 私たちの夫のように……
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112
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33 女にとって……
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116
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34 あなたの面影を慕って……
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117
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35 今日に期待をかけるうちに……
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118
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36 立ち上がり、陶然と……
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123
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37 私は風変わりな夫を……
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127
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38 私は言ったもの……
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131
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39 ああ、私は恋に恋をしていた……
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137
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40 私は頭から足の先まで……
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138
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41 私は言った、夫の家から……
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144
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42 私は自分自身に権限を持っていない……
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146
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43 女を、悪い男が奪ったときには……
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148
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44 私の髪は蛇のように……
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151
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45 まだこの世に生まれぬ者たちよ!……
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153
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46 願わくは母親の胎内から……
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158
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47 あなたのルビーの唇を思って……
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159
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48 友よ、さあ喪に服す準備を……
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160
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49 月よ、わが荒んだ心の……
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163
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50 広い世界は私にとって……
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164
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51 わが心はそなたの美貌の……
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165
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52 今日はわが愛する人との……
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165
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53 あの未熟な詩に比べたら……
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166
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(以上すべての詩篇 中村菜穂 訳)
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解説 ザフラー・ターヘリー(鈴木珠里 訳)
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169
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訳者より 鈴木珠里
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210
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ジャーレ(アーラム=タージ・ガーエムマガーミー)
1884年、イランの政治と文学において長年重要な地位を占めたガーエムマーガム一門に生まれ、当時のイラン女性としては珍しく教育を受ける機会を得る。16歳の時、家族の望みで40歳代の男性と結婚。自らの境遇を社会的・宗教的な制約によるものと分析しつつ、嘆きの詩を書いた。彼女の詩はイランの文学史上、女性によって書かれた最初の、個人的感情を詠ったものである。「ジャーレ」は雅号。
ザフラー・ターヘリー・ハギーギー [Zahra Taheri Haghighi]
1955年イラン、シーラーズ生まれ。カリフォルニア大学バークレー校博士課程修了。文学博士。2002年10月、東京外国語大学南・西アジア課程客員教授として来日、2010年7月まで在日。現在はオーストラリア国立大学アラブ・イスラーム研究センターに在籍。ペルシア文学、なかでも女性の文学に焦点をあてた研究を続けている。ペルシア語による詩集があるほか、日本語に訳された論文に「初期イスラームの女性神秘家たち:メソポタミアの禁欲神秘主義からホラーサーン派神秘主義まで」(前田君江訳、『総合文化研究』第8号、東京外国語大学、122〜158頁、2000年)、「モウラーナーの周辺に集った女性たち」(森茂男編『イランとイスラム』春風社、120〜132頁、2010年)がある。
中村菜穂 [なかむら なほ]
1981年生まれ。東京外国語大学大学院地域文化研究科博士後期課程在籍。訳書『現代イラン詩集(新・世界現代詩文庫)』(共訳、土曜美術社出版販売、2009年)、共著書『イランとイスラム』(森茂男編、春風社、2010年)。
鈴木珠里 [すずき しゅり]
1968年生まれ。東京外国語大学大学院地域文化研究科博士前期課程修了。文学修士。イラン現代詩を研究、翻訳するかたわら、中央大学総合政策学部・大東文化大学国際関係学部・外務省研修所の非常勤講師としてペルシア語を教える。定期的に、ペルシア語教室「ヘディーエ」を開催。著書『イランを知るための65章』(共著、明石書店、2004年)、訳書『現代イラン詩集(新・世界現代詩文庫)』(共訳、土曜美術社出版販売、2009年)。
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