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二〇〇〇年 DOS MIL
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パブロ・ネルーダ 著 / 吉田加南子 訳 / 竹久野生 版画
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A5判上製64頁 1,200円(税別)
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ISBN978-4-89642-322-8 C0098
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『二〇〇〇年』は、病床のシーツの中で書かれ、イスラネグラのネルーダの家を訪れたロサーダ社オーナーの息子に本人から手渡された。
重い病の床で、アジェンデ政権の危機と、増大する軍の力を感じながら、ネルーダはどれほど緊張した精神のドラマを生きていたことか。
この詩のなかで歌い、語っている、幾多の死者また生者の声、資本家や権力者の勝ち誇った声、その前で揺れ、倒れ、しかしまた立ちのぼってくる希望、希望を生きる声、そしてたゆむことなくつづけられる自然の営みの響き(……)詩は、証言している。現在を。歴史を。そして、歴史をのりこえようとする「粘り強い骸骨」である詩自身を。美への欲求であり、倫理的要請である詩が、時間と空間とをつらぬいて生きようとするさまを。
ほとばしり出る、未来への願い、祈り、愛を。
(吉田加南子「訳者あとがき」より)
二〇〇〇年とくくられたそれぞれの詩は、自分も含めての過去の人となった人間たちの未来、21世紀現在に対する発言という形をとっている。それで、それぞれの版の形を墓石や石碑を思わせるものにした。(竹久野生「版画の構成」より)
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目 次
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頁
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I 仮面
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5
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II 発明
Las Invenciones
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9
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III 麦の穂
Las Espigas
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13
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IV 大地
La Tierra
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17
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V 招かれた者
Los Invitados
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22
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VI 人間たち
Los Hombres
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26
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VII 別の人間たち
Los Otros Hombres
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30
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VIII 資源
Los Materiales
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34
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IX 祝祭
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39
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版画の構成 竹久野生
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47
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訳者あとがき 吉田加南子
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49
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パブロ・ネルーダ [Pablo Neruda]
1904〜1973。チリの国民的詩人であり、外交官、国会議員。1971年ノーベル文学賞受賞。南米ではゲバラと並んで左派のヒーローの一人。軍事政権のクーデターが起こり、チリの民主政権が崩壊した12日後に死去。
吉田加南子 [よしだ かなこ]
1948年東京生まれ。詩人、フランス文学者。
学習院大学教授。著書に『言葉の向こうから』(みすず書房)、『幸福論』、詩集に『定本 闇』(高見順賞受賞)『吉田加南子詩集』『さかな』(以上、思潮社)、翻訳・編訳に『デュブーシェ詩集』(思潮社)、デュパン『ジャコメッティ』(現代思潮社)、『愛のフランス詩集』(天来書院)、『フランス詩のひととき』(白水社)など。
竹久野生 [たけひさ のぶ]
1940年東京生まれ。辻まことを父として生まれ、竹久不二彦夫妻の養女として育てられる。1968年より造園家の夫と共にコロンビアに移住。画文集に『アンデスの風と石が運んだもの―竹久野生・画文集』(三修社)、詩画集に『マチュ・ピチュの高み』(ネルーダ/矢内原伊作訳/竹久野生画、みすず書房)がある。
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