北欧精神史紀行

―ノルウェースターヴ教会めぐり―

中里 巧

【第1回】


 今回は、まえがきでありまして、北欧精神史紀行の経緯を、ちょっとお話ししようと思います。
 
 私はもともと、キルケゴールから自分の哲学研究を始めたのでした。キルケゴールが、「実存しつつ考える」などと言っておりまして、これが災いしたか、現在ではフィールドワークする哲学者になってしまいました。そもそも、文字文献だけに思想が保存されているということに、どうしても納得できなかった。ネアンデルタール人だって、埋葬をしていた痕跡があるわけで、埋葬するぐらいなら、当然、思想をもっていたであろう。たんにそれが文字に記録されなかっただけの話ではないか。文字を持たなかったし記録もないという理由だけで、ネアンデルタール人は思想を持っていないとか、哲学の対象にならないなどというのは、哲学者の傲慢である。こんな理屈から、私の関心は、だんだん日常のなかに息づく生活と密着した思想に、広がっていったのでした。文字に変換された文献だけが、思想を保存しているわけではない。手始めにその証拠として、ノルウェースターヴ教会をここにご紹介していこうと思っています。1週間に1回ぐらいの割合で更新していこうと思っていますので、どうぞご期待下さい。
 写真はすべて、1998年8月に中里が撮影したものです。写真の解説は、次回以降いたしますが、キリスト教会と北欧神話の融合がうかがえます。教会内部は、撮影禁止になっています。ここで発表します教会内部写真は、特別に許可を得たものです。


ボルグント教会遠景
ボルグント教会尖塔部


 
 
ボルグント教会内部祭壇側


ウルネス教会遠景

バイキング紋様

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